Продолжая использовать сайт, вы даете свое согласие на работу с этими файлами.
たいまつ
たいまつ(松明、炬火、トーチ、英語:torch)とは、明かりとして使うために手で持てるようにした火のついた木切れなどである。通常、長い棒や竿などの突端に枯れ草や松脂など燃えやすいものに浸した布切れを巻きつけたものである。
西洋の城や教会など石造りの建物や地下室では、電気のない時代、廊下や部屋に明かりを投げかけるために、壁の高いところに腕木で突き出させた燭台(sconce、突出し燭台)にたいまつを挿すこともあった。
たいまつを使って夜を照らしたり神聖な火を運ぶという神事や火祭りは世界各国に見られる。また、夏などにたいまつで田畑の上を飛ぶ害虫を焼く「虫送り」「虫追い」なども行われていたが、これも後に農作業から火祭りへと取り入れられ、火祭りに五穀豊穣、火除け、虫除けなどの意味が付される場合もある。
日本語の由来・変遷
日本語の「たいまつ」の語源は、「焚き松」や「手火松」など諸説ある。『日本書紀』(イザナギが黄泉の国へ行く際に用いた)や『万葉集』といった8世紀の書物の時点では、「たび(手火)」という呼び方であり、「松明」と「炬火」の表記は10世紀中頃の『和名類聚抄』に見られるが、それぞれ別項目として扱われており、松明の項の説明によれば、「唐式云毎城油一斗松明十斤」などとあるが、和訓の説明についてはない。一方で炬火の項では、和名を「太天阿加之(たてあかし)」と記し、江戸時代の『和漢三才図会』「炬(たいまつ)」の項でもこれを引用し、「今いう太比末豆(たいまつ)」と記述されている。なお肥松のことを地方によっては、「あかし」「たい」などと呼ぶ。従って、和名抄の「たてあかし」のあかしは地方の言葉として残っている。
神事のためのたいまつ
たいまつは、祭りなどの神事で、夜間の照明や、神聖な火を運ぶものとして使われることもある。夜間の参道を照らしたり、参拝者がたいまつを掲げて行列を組み神社などへ練り歩いたり、燃えやすい薪などの木ぎれを組んで作られた祭事用の「大松明」に火をつけて夜を照らしたり下界へ走り抜けたりするなど、たいまつを使った様々な「火祭り」が行われる。同様に火を使う儀式には送り火や灯籠流しなどもある。こうした夜を徹する神事や、神々や死者などへささげるためのたいまつの使用は、日本に限らずアジアや古代ヨーロッパやギリシャ・ローマなど、世界各国のあらゆる民族に共通して見られる。
神聖な火を運ぶたいまつ(トーチ)で世界的に有名なものは、オリンピックの際、採火から閉会式まで消さない聖火をギリシャから各国、開催国内をリレーして走る際にも使われている聖火リレーのトーチである。このトーチは、聖火リレーと同じく1936年のベルリンオリンピックから導入された。
オリンピック以外のスポーツイベントでもトーチが用いられることがある。市販のものには内部に専用カートリッジを備えたものもあり火煙式トーチと発煙式トーチがある。
たいまつには、昭和23年に大麻取締法が強化されるまでは麻木(おがら)が使われていたが、現在はほとんど麻木は使われていない。麻木をたいまつに使っている神社は全国で2社だけとなった。
なお、一般神社で儀式で用いるたいまつは、「ヒデ」(松の芯の、特に脂分が多い部分)と葦を一緒に束ね、数か所を縛り、手元を和紙で巻いたものを用いる事が多い。その扱い方は行列の場合、吉事には火を列の内側に、凶事は外側に向ける。また神道では、たいまつの事を単に「マツ」とも呼ぶ事も多い。神社では、野外用を「松明」(たいまつ)と称し、屋内用を「脂燭」(ししょく・しそく)と言う。これは、松の「ヒデ」の脂に点火するので、その名がある。松の棒の手元の部分を紙で巻いたものを紙燭(ししょく)と言う。紙燭の作り方については一定ではなく様々な様式があり、スギの芯やマツの小枝も用いられた。これらは、夜間の神事等で屋内の通路を照らすのに使用する。なお、脂燭の使用法などは平安時代の『令義解』にも記されている。また、脂燭のさし方は松明と同様である。
水中用のたいまつ
たいまつの火をつける部分に硫黄と石灰を混ぜたものを使用すると、水の中に入れられた後でも炎が消えないたいまつが出来上がる。こうしたたいまつは古代ローマで用いられた。
忍者は火薬を応用したたいまつを用いており、これを「忍び松明」「水松明」と呼び、竹筒に火薬をつめたもので、水に潜らせても火が消えないとされる。現存するものとして、全長約70センチ、太さ7センチ、竹の皮で覆い、桐の把手があり、柄には文化12年の墨書も見られる。また、軍事面では、たいまつは放火する際の火種となった。
水中用たいまつについては兵法書にも見られ、上泉信綱伝の『訓閲集』(大江家の兵法書を戦国風に改めた書)巻四「戦法」の中の「用火の秘方」において、「水中、豪雨、火無くしてともす炬(たいまつ)の秘方」の記述があり、薬品を竹炬の中に包むなど忍者が用いた水松明と類しており、「水に付けてしばらくして上げると火がつき」、これを「不知火という秘方」であると記している。
この他、雨中に使用するたいまつに硫黄を用いる記述は、江戸期の『和漢三才図会』「炬」の項にみられる(焼酎などの記述もみられ、水中でも消えないとする)。
現代でも水中用の発炎筒が用いられているが、化学薬品を用いているという点では同じである。
ジャグリングのためのたいまつ(トーチ)
ジャグリング用トーチは、トスジャグリングの道具として用いられる。トーチはジャグリングの間、空中に投げ上げられては受け止められまた投げられるということを繰り返す。ジャグリングナイフやクラブを投げるのと方法は同じだが、トーチの放つ音と火の残像が観客により強い印象を与える。しかし火を使うことは危険であるため、素人には困難なジャグリングであり、熟練したジャグラーでもめったに火傷することはないとはいえ注意を要する。
パフォーマンスとしてのたいまつ(トーチ)
キャンプファイアなどにおいて行われる火を使ったパフォーマンス。
シンボルとしてのたいまつ
たいまつ(トーチ)は、「闇を照らす」「世を照らす」ことを象徴する一般的なエンブレムである。たとえば右手にたいまつを持つ自由の女神像の正式名称は「世界を照らす自由(Liberty Enlightening the World)」である。下向きにして交差させたたいまつは古代ギリシアや古代ローマによく見られる喪のしるしであった。下を向いたたいまつは死を象徴し、一方、上を向いたたいまつは再生する炎の力を表し生の象徴であった。
闇を照らすトーチは政治結社や政党などのシンボルにも使われる。イギリスの保守党のロゴにはたいまつを持つ手があしらわれ、同じくイギリス労働党の1983年までのマークでは農民を意味する鍬にたいまつをクロスさせていた。
国旗や国章では、ザイール(現・コンゴ民主共和国)の国旗に革命や自由を表すたいまつが描かれていた他、ユーゴスラビア社会主義連邦共和国(現・セルビア、モンテネグロ、クロアチア、スロベニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、マケドニア、コソボ)の国章に連邦を構成していた6つの共和国の「兄弟愛と統一」を意味する6本のたいまつが描かれていた。
カトリック教会でのたいまつ
カトリック教会では長い歴史の中で、一度ミサや儀式で用いたものは安易に使用をやめないという伝統があった。もともと、たいまつはミサの奉納時に照明をおこなうためだけのものだったが、荘厳ミサにおいて欠かせないものとなり、重要な役割を果たすようになった。
エイドリアン・フォーテスキューの1912年の著書『ミサ:ローマ典礼に関する研究』("The Mass: A Study of the Roman Liturgy")によれば、ミサにおけるたいまつのより正しい形式は、自立式でない、誰かが支えないとならないものであった。しかし今日では、バチカンでの荘厳なミサですら、たいまつを用いることはなく、自立式の燭台に挿した背の高いろうそくを用いている。こうした照明はたいまつ持ちに運ばれ、サンクトゥスが歌われるときに祭壇に運ばれ、聖体拝領が終わると片付けられる。
聖公会の中のハイ・チャーチ(高教会)や、ルーテル教会の一部には、たいまつを礼拝の中に使うところもある。
トーチランプ
建設現場で「トーチ」と言えば小さな手持ち式の熱い炎を出すバーナーで、酸素とアセチレン(またはプロパン)を燃料とし、鉄など金属の切断や溶接するために使われるものである。
懐中電灯も電気松明という意味でトーチ(electric torch)と称される。