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イルカ
イルカ | |||||||||||||||||||||
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分類 | |||||||||||||||||||||
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科・亜科 | |||||||||||||||||||||
イルカ(海豚、鯆)は、哺乳類偶蹄目(鯨偶蹄目)に属する鯨類の内、小型の種の総称である。なお、イルカとクジラは分類学的には明確に区別されない。
生態と形態
多くは海に生息するが、カワイルカ類のように淡水である川に生息する種類や、淡水と汽水域を行き来する種もいる。
頭頂部に肺呼吸のための1つの噴気孔をもち、体表面下で分枝して左右の肺に繋がっている。呼吸の周期はおよそ40秒である。平均体温は37℃で、体温を保つために体は厚い皮下脂肪に覆われている。泳ぐ速度は最高で時速30km程度とされる。陸棲哺乳類と比較して体重あたりの血液量が多く、血中のヘモグロビン濃度、筋肉中のミオグロビン量が多く、そのため1回の呼吸で長く海中に留まることが出来る。また海中では不必要な心拍を抑制し、血液を脳や心臓などの重要臓器に集中させて酸素消費量を抑えるメカニズムも備わっている。
イルカは一度も泳ぐのをやめず息継ぎもきちんとしながら常に泳ぎ続けている事から、かつてはイルカは全く眠らないのではないかと言われていた。しかし、イルカは半球睡眠(右の脳と左の脳を交互に眠らせる事)の能力を持つことが分かってきており、眠らないという説は現在ではあまり有力ではない。また、右の脳が眠っている時は反対の左目を、逆に左の脳が眠っているときは右目をつむりながら泳ぐ。
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体形は紡錘状で、背に鎌形あるいは三角形の背びれを有する種類が多いが、背びれがほとんどない種類もいる。尾側の最後部に尾びれを有し、尾びれを上下に動かして泳ぐ。前足に相当する部分に胸びれがあり、後ろ足は退化してわずかに骨のカケラとして体内に残る。2006年に腹びれのあるイルカが発見されたこともある。
メスとオスに分かれ、生殖行為を通して一定期間妊娠の後に出産する。生殖器は通常外見からはメスとオスの区別は困難であるが、交接時にはペニスが露出するため容易に鑑別できる。誕生からしばらくの間は母親の母乳によって育てられる。
多くは肉食であり、魚類や頭足類などを捕食する。また、水分はあくまでも食料の魚類などから摂取する。水分として直接摂取するほか、脂肪を体内燃焼したときに生じる代謝水もある。海水からは摂取する割合はごく少量であり、意図的に摂取しているのではないと考えられている。海水を大量に摂取した場合、排尿が促進されて脱水症状に陥る点は人間と同じである。イルカの歯はおよそ80本あるが食べるときは丸飲みである。
肺呼吸であるので、他の哺乳類と同様に、咳をしたり、肺炎になったり、かぜをひく。水族館などでは、日頃の行動観察や体温測定(肛門で測定する)、採血(通常尾ひれから採血を実施する)などで体調管理をする。ただし、ショーへの参加を嫌がり仮病をつかうイルカもいるとされ、判断が難しい場合もある。
イルカは単独で行動するケースも見受けられるが、複数匹で群をなして行動することが多い。また複数の実験・観察結果を通して、噴気孔付近から出すクリック音を使って同種の個体同士でコミュニケーションする可能性が指摘されている。全般的に好奇心旺盛で人なつっこく、船に添って泳ぐなどしてその姿を人間に見せることが多い。人間は、このような性格を興行やアニマルセラピーとして利用している。
知性
イルカは体重に占める脳の割合(脳化指数)がヒトに次いで大きいことから、イルカの知性の潜在的可能性が古くから指摘されており、世界的にも数多くの研究者の研究対象になり、世間一般からも興味の対象とされてきた。 ただし、イルカの脳はサイズは大きいものの、グリア細胞の割合が多く、ニューロン自体の密度はそれほど高くない。ただしニューロンの密度をもって知性が劣ると言い切れるのかは定かではない。従って、科学的根拠から脳のサイズのみから知性のレベルを判断するのは早計である。
イルカの脳はその生息環境及び形態に応じた適応を果たしており、仮にイルカがヒトに匹敵する密度のニューロンを持てば酸素要求量が増し、長時間の潜水は困難となる。また肺を肥大化させると運動能力が犠牲となるため、現在の脳に最適化されたと考えられている。
イルカが人間と同様の知性を持つ、あるいは人間以上の知性をもった存在として描かれる作品は多数存在するものの、いずれも科学的根拠に乏しいフィクションである。
また、イルカは高い周波数をもったパルス音を発して、物体に反射した音からその物体の特徴を知る能力を持つ。更にその特徴を他の個体にパルス音で伝えたりと、コミュニケーション能力は高く、人間のようないじめも行うこともわかっており、魚などを集団で噛み付き弱らせ弄んだ挙句食べずに捨てる、小さな同種のイルカや弱ったものを集団で噛み付くなどして、殺すなど集団的な暴行行為も行う。
イルカと言語の詳細は「ハンドウイルカ#感覚とコミュニケーション」項を参照のこと。
なお、脳科学者の池谷裕二は、イルカの脳は高性能だが、人のような四肢がないことで、脳が人間のように十分に活かされていないと主張している。
また、小アンティル諸島で、SOS信号の発受信による互助が観察された。群れから遠く離れた個体がサメに襲われた時、SOS信号を出し、その信号を受け取った群れのイルカが助けに駆けつけた。助けられたイルカは自力で浮上することが出来なかったが、仲間に介護され2週間後に回復したという。
クジラとの違い
分類学上は、「イルカ」に相当する系統群は存在しない。一般的にはハクジラ類に属する生物種のうち比較的小型の種類を総称して「イルカ」と呼ぶことが多いが、その境界や定義についてははっきりしておらず、個人や地域によっても異なる傾向がみられる。
同様にして、「クジラ」の定義もはっきりはしていない。これらは人為分類の1つであり、ヒトの伝統や文化によって成立しているため、生物学的な根拠は認められていない。
- 世界的にも日常語レベルではイルカとクジラは別のカテゴリーとして認識され、別の名で呼ばれることが多い。一方で、「イルカ」というグループは「クジラ」に含まれるサブグループとして扱われることもある。
- 日本語では、成体の体長でおよそ4mをクジラとイルカの境界と考えることが多い。これは定義ではなく、実際に○○クジラ、○○イルカと呼ばれている種の体長から帰納した傾向に過ぎず、4 m基準に当てはまらない種もある。例えば、コマッコウやゴンドウクジラのような4 mに達しないがクジラと見なされる種も多い。文献によっては、3 mという基準で分類しているものもある。
- ゴンドウクジラは生物学的にはマイルカ科に属するため、まれにイルカとされることがある(ゴンドウクジラ#特徴も参照)。
- イッカク科のシロイルカは、和名に「イルカ」とついているが、成体は5 mに達するためクジラと見なされることもある。
- ヒトが「可愛い」と感じる種を「イルカ」と呼ぶとする説もある。
このように、イルカとクジラの定義や分類は個人や地域によって差異が見られており、安易な区別は誤解や混乱を招く恐れがある。実際にはハクジラとヒゲクジラとの差の方が生態的にも形態的にも違いが顕著であり、また遺伝的に見ても進化系統が独立している。そのため、学術論文や専門的な書籍などでは通常こちらの区別が用いられる。
英語での Dolphin と Whale の呼称の区別は、日本語の「イルカ」と「クジラ」の区別とほぼ共通する。例えば小型ハクジラ類のうちゴンドウクジラについては英語では Whale と呼びクジラとして扱う点で日本語と共通する。ただし、日本語で「イルカ」と呼ばれる種のうちネズミイルカ科のものは、英語では Porpoise と呼んでいて、 Dolphin とは区別している。
「クジラ」と「イルカ」が区別されるようになった原因としては、日本人が古来からクジラとイルカを呼び分け、全く異なる生き物と認識していたことに起因するとする説がある。すなわち、昔の日本人は視覚的な印象から、海にすむ大きく雄大な生き物をクジラ、小さくて俊敏な生き物をイルカと呼び分けていた。その分類感覚が時代を経て広まった結果、標準和名の末尾にも「イルカ」「クジラ」という名前が付与され、現代においてもなおこれらのグループを区別して認識されているとしている。
この仮説が正しい場合、当時の日本人は体長を計測してこれらを呼び分けていたわけではないので、「成体の体長が4 m以下のものがイルカ」「クジラとイルカの違いは大きさのみ」といった解釈は正確ではない。またこの仮説においてシャチやスナメリなど和名に「イルカ」も「クジラ」も含まれていない生物種については、どちらにも属さない独自の動物として認識されていたと考えられている。
種
以下に確認・分類されているイルカの名称をあげる。この中には身体全体が発見されていない種もいることから、将来的に新しい種が発見されたり、分類学上の基準が変わり、1つの種が複数の種に分かれたり、逆に複数の種が1つに統合されたりする可能性もある。
「イルカ」に厳密な定義はないが、ここでは和名に「イルカ」がある科(マクジラ科については亜科)に含まれる種を挙げる。これらは、通常「イルカ」と呼ばれる種に一致している。
これらの種は、スナメリを除き、和名に「イルカ」を含む。ただしこれらの他に、イッカク科のシロイルカ(ベルーガ)が和名にイルカがある他にマイルカ科のハナゴンドウにはマツバイルカという別名もあるが、これらの種はクジラに含められることが多い。
- マイルカ上科
- アマゾンカワイルカ上科 - 淡水から汽水域に棲む。
- ヨウスコウカワイルカ上科 - 淡水から汽水域に棲む。
- ヨウスコウカワイルカ科
- ヨウスコウカワイルカ属 - ヨウスコウカワイルカ
- ヨウスコウカワイルカ科
- インドカワイルカ上科 - 淡水から汽水域に棲む。
系統
クジラ類の系統の中で、上で挙げた科・亜科を太字で表す。
クジラ目 |
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海洋資源としての利用
利用の歴史
先史時代の世界各地の貝塚から、イルカを始めとする鯨類の食物残滓が見つかっており、イルカなどの鯨類の骨は生活の道具や狩猟具・漁具として利用されてきた。日本において判明しているのは、縄文時代までさかのぼり、約8000年前の縄文前期の遺跡とされる千葉県館山市の稲原貝塚においてイルカの骨に刺さった黒曜石の、簎(矠・やす)先の石器が出土していることや、約5000年前の縄文前期末から中期初頭には、富山湾に面した石川県真脇遺跡で大量に出土したイルカ骨の研究によって、積極的捕獲があったことが証明されている。
クジラが北欧や日本などの海産国で貴重な資源としてあまねく利用されるのとは異なり、現在ではイルカを中心にした産業が成立しているケースは世界的に見ても少なく、フェロー諸島、南太平洋の島国や日本の一部の地域、カナダのイヌイット地域などで肉が食用に供されているに過ぎない。もっとも、捕鯨技術発達の初期段階では、イルカが捕獲対象となることは多かった。また、ビスケー湾周辺では中世まで盛んに捕獲が行われ、鯨油の原料や食肉として利用された。イングランド宮廷では17世紀頃までイルカが食卓に供されていた。(詳細は鯨肉#日本での食文化の歴史参照)
食用
日本の場合、戦前や戦後の食糧難の時代、クジラと同じくイルカも、貴重な蛋白源であった。今でも、比較的イルカがよく観察されるところでは食用にする習慣が残っているところもあり、各都道府県知事許可漁業の「いるか突きん棒漁業」「いるか追い込み漁業」として認可を受けて操業しているところもある(突きん棒漁業とは銛を打ち込んで漁獲する漁法である)。(食用の詳細は鯨肉#昭和以前の需要供給、流通参照)。
例えば静岡県の東部地域や、駿河湾で水揚げされた魚貝類が流通する内陸部の山梨県では明治初期からイルカ食が行われ、山梨県富士川町の鰍沢河岸からはマグロなどの大型魚類とともにイルカの骨が出土している。あるいは和歌山県でもイルカ食文化があり、この漁法で仕留めたイルカの肉を町中の魚屋やスーパーマーケットなどで日常的に販売している。最大の産地は岩手県である。沖縄の名護の名物はヒートゥー(イルカ)料理である。イルカの漁獲量は一般の漁業と異なり、重量ではなく頭数管理とされている。なお、定置網で混獲されたイルカが食用とされる場合もある。2009年にイルカ追い込み漁を批判する映画「ザ・コーヴ」が製作され、日本での公開の際に話題を呼んだ。(捕獲の詳細は捕鯨参照)
血抜きをされていないイルカ肉は鉄分が酸化し黒っぽい色をしている。また、魚を主食とするイルカの肉独特の臭みは脂身の脂にある。よって、イルカ肉を美味しく調理するには、肉の血抜きと脂身の脂抜きの下処理がポイントとなる。脂の臭みが肉に移らないように、脂身を取り除くか、肉と脂身を別にして、調理するのが理に適っている。調理法としては一般的には肉を削ぎ切りにし、塩漬け・塩抜きし、もしくは、醤油とみりんと砂糖で作ったタレに漬けてゴマをふり、天日干しにし(こうしたイルカの干物は「イルカのタレ」と呼ばれる)、焼いて食べる。また燻製にもする。イルカの「背びれ・尾びれ」(表皮と皮下脂肪)は、薄く切って、1~2日ほど水に晒して、30~40分ほど茹でて、塩をした、「イルカ(の)すまし」(鯨ベーコンに近い)となり、酒のつまみとして、ポン酢・わさび醤油・酢味噌などで食べる。山形の郷土料理の「イルカ汁」は、「塩クジラ」(鯨の皮と皮下脂肪の塩漬け)と野菜の味噌汁であるが、その名称は、かつてはイルカ肉の塩漬けを使用していた名残である。イルカ肉はその臭みから、塩クジラに取って代わられたとされる。
生肉は冬が旬の食材で、販売時には肉と脂皮の角切りが一緒にパックされていることも多い。煮物にする場合は、水に晒して血抜きをし(流水で1時間ほど。水が血でにごらなくなり表面が白っぽくなったくらいが目安)、4~5時間ほど下茹でして(茹で汁は何回か交換するとよい)アク抜きをして、臭みを除いてから、ショウガ・ゴボウ・ニンジン・大根・こんにゃくなどとともに味噌煮にすることが多い。静岡県東部地方ではこれが冬の郷土料理である。また新鮮な生肉(生食用・刺身用)もしくは解凍した冷凍肉(生食用・刺身用)を、水に晒して血抜きをし(刺身の場合は必ずしも血抜きをしなくてもよい)、硬い表皮を除き、肉と脂肪層を数mmの薄切りにして刺身にし、好みで大葉や刻みネギやオニオンスライスなどの薬味を添え、おろしショウガ醤油・おろしニンニク醤油(他にワサビ醤油・塩ゴマ油・ニンニク味噌などもよし)などで食べる。イルカ肉は、加熱すると固くなり臭みが出るが、生だと柔らかく臭みがほとんどない。ゆえに、イルカ料理の中ではイルカの刺身が一番美味い、脂ののった馬刺しに近い、との意見も多い。また、生肉もしくは解凍した冷凍肉を、水に晒して血抜きをし、硬い表皮と脂肪層を除いた肉の部分のみを、大和煮や唐揚げや竜田揚げやステーキにする。イルカのすき焼きにする地方もある。また動物性油脂を天ぷら油として使用する一部の地域では、豚の脂身(ラード)の代わりにイルカの脂肪を使用することもあるようである。
近年になって大型のクジラの捕獲量に制限が加えられ、流通に支障が出てくるようになると、単に「鯨肉」と称してイルカの肉(イルカも鯨類ではある)が市場に出回るケースもあるようである。大型鯨類のほとんどはヒゲクジラの仲間であり、それと誤認させるような表記は問題だが、マイルカ科の歯クジラでもゴンドウクジラなどの肉は元々鯨として流通していた。もっとも、現在のJAS法上はそのような表示は不適法とされており、それぞれ「ミンククジラ」「イシイルカ」などの鯨種別表示が必要である。
なお、日本の厚生労働省は2005年、イルカを含むハクジラ類の肉にはマグロやキンメダイなどの一部の魚介類と並んでメチル水銀などの人体に有害な有機水銀類が含まれるとして、妊娠時の女性に対して摂取を控えるように警告した。具体的には種類により異なるが、全体に魚類に比べて厳格な基準が設けられ、最も厳格な基準のバンドウイルカについては1回約80gとして妊婦は2ヶ月に1回以下とするように推奨している。ただし、妊婦以外の一般人の摂取に関しては、幼児の場合なども含めて特に制限が必要とはされていない。
イルカやクジラなど海生哺乳類(種により異なる)は、アニサキスの主な最終宿主で、成虫はその腸管に棲息する。
その他の利用
観光での利用
アニマルセラピー(動物療法)として、イルカと触れ合うことで心が休まることなど、精神的な疾病の治療にも利用されることもある。水族館での生活に適応できた個体は長生きし繁殖まで行うことが出来、一部の施設では飼育下五世の繁殖も成功もしている。(新江ノ島水族館)
船でイルカと併走しながら泳ぐ様を観賞するドルフィンウォッチング(ホエールウォッチング)が開催されている。
バンドウイルカなど一部のイルカは水族館において展示飼育されることも多い。訓練されたアクション(海面上へのジャンプや立ち泳ぎ等)によるイルカショーなどに使用される。一方で、監禁飼育でストレスが大きいという指摘がある。動物調教師のリチャード・オバリー氏は、狭い囲いに監禁するのは視覚に頼る生き物を鏡に囲まれた空間で生活させるようなもので気が狂ってしまうと指摘している。ただし、野生のイルカと飼育下のイルカを実際に比較した研究では、野生のイルカの半数以上が何らかの病気に罹患しており、飼育下のイルカの方が遥かに健康的であるとされている。研究では360頭以上の野生のイルカが検査されたが、野生のイルカからは「新興感染症や腫瘍、抗生物質耐性菌、驚くほど高いレベルの汚染物質」が検出され「臨床的に正常」とされるイルカは半数にも達せず、厳格に管理された飼育下のイルカの方が健康であるとされた。
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軍用
アメリカ海軍においては動物兵器(軍用イルカ)として、機雷の探知・ダイバー救助などに利用されている。米海軍が和歌山県太地漁港からハナゴンドウを購入した事例もある。
文化
季語
日本
- 武内宿禰に連れられた太子(応神天皇)はイザサワケと名の交換を行ったとする(易名説話)。説話によれば、太子が角鹿(敦賀)の仮宮を営んでいると、夜の夢にイザサワケが現れて名を交換するよう告げられた。太子が承諾するとイザサワケは翌朝に浦に出るように言い、太子が言われたとおりにすると浦には一面にイザサワケの献じた入鹿魚(イルカ)があった。これにより太子はイザサワケを「御食津大神(みけつのおおかみ)」と称え、のちにその名が「気比大神」となったという。
- この伝承からはイルカが当時より食料(「御食(ミケ)の魚(ナ)」)とされていた事が分かる。
- また古事記では、鼻を怪我したイルカの血の臭いから座礁した浦を「血浦(ちうら)」と名付け、これが転じて「都奴賀・敦賀(つるが)」という地名が生まれたという(日本書紀では都怒我阿羅斯等(つぬがあらしと)に由来するとしている)。
- 『太平記』流布本巻23「大森彦七が事」では、悪七兵衛景清が持つ「癡」という妖刀が壇の浦の戦いで海に落ちたのを、イルカが飲み込んで、讃岐国(香川県)の宇多津沖まで運び、100年余りのちに漁師によって引き上げられたその刀を、楠木正成を倒したという武将大森盛長が手にしたという伝説が描かれる(楠木正成#怨霊伝説)。
上述のように、食用のイルカ漁がおこなわれる一方で、イルカの姿態や習性が人間に近いことから、イルカ供養も盛んにおこなわれている。
シュメール/バビロニア神話
- イルカ信仰=魚信仰(注:古代人にとって、クジラ・イルカ類は「魚」に分類される)の起源を遡ると、最古の物としては、シュメールの「アプカルル」/「アダパ」に辿り着く。バビロニアの「オアンネス」も同じ存在を指しているとされ、これらは、エンキ (エア)やダゴンと同一視される。これらは「賢者=知恵の神」とされ、「イルカが賢い」とされる言説は、根源的にはこれに由来する。
- アプカルルは、アッカド語で「偉大な水の人」の意味で、「偉大な」という意味の形容詞「カル」を取ると、「アプル」すなわち「水の人」という意味になる。この「アプル」は、冥界の太陽神ネルガルの称号であり、この「アプル」がアポローンやアプロディーテーの語幹「アポロ」「アプロ」の語源であると考えられている。
ギリシア神話
- イルカはアポローン・アプロディーテー・ディオニューソス・ポセイドーン・アムピトリーテーの聖獣である。ポセイドーンの息子トリートーンは上半身が人間で下半身がイルカとされる。古代ギリシアにおいてイルカを殺すことは、重大な罪であった。
ユダヤ教
ユダヤ教では、クジラ・イルカ類は、カシュルート(食事規定)の「海や川の住民のうち、ヒレ、ウロコのないもの」に該当し、ウロコのない「魚」なので、食べてはいけない。
キリスト教
- 古代西洋世界において、「魚」の中でもっとも強く速いとされたイルカは、魂を冥界に運ぶ使者と考えられた。初期キリスト教でも、イルカはクジラとともに「救済と復活の象徴」となった。また、魚であることから、「キリストの象徴」ともされ、しばしば三つ又の矛や錨(ともに三位一体の象徴)と結びつけられて、カタコンベの壁画などで表現された。
- シンボル(象徴)としては、大きな「クジラ」が神で、小さな「イルカ」が救世主に相当する。クジラ=神、イルカ=救世主。
イルカを題材とした作品
- 小説・童話
- 『ライオンとイルカ』(イソップ童話)
- 『イルカと海へ還る日/HOMO DELPHINUS]』(ジャック・マイヨール Jacques Mayol)
- 『イルカのハッピーフェイス』 リチャード・オバリー Richard O'barry 地湧社
- 『イルカと友達になる方法』 廣瀬裕子 ハルキ文庫
- 『イルカの島』 アーサー・C・クラーク 創元SF文庫
- 『イルカの日』 ロベール・メルル ハヤカワ文庫
- 漫画・アニメ
- 絵本
- 歌
- 『イルカにのった少年』(歌:城みちる、作詞:杉さとみ、作曲:林あきら。1974年)
- 『イルカはざんぶらこ』(歌:東京放送児童合唱団、作詞:東龍男、作曲:若松正司。テレビ番組『ワンツー・どん』、1980年)
- 『ドルフィン・リング』(歌:杏里、作詞・作曲:ANRI。映画『結婚』、1993年)
- 『イカイカイルカ』(歌:速水けんたろう・茂森あゆみ、作詞:下山啓、作曲:福田和禾子。テレビ番組『おかあさんといっしょ』、1998年)
- 『コイシテイルカ』(歌:さかなクン、作詞:もりちよこ、作曲:ユ・ヘジュン。テレビ番組『みんなのうた』、2009年)
- TVドラマ
- 映画
- 『フリッパー』
- 『ドルフィンブルー フジ、もういちど宙へ』
- 『イルカの日』(監督:マイク・ニコルズ)
- 『ザ・コーヴ』
- 『イルカと少年』
- 『ビハインド・ザ・コーヴ 〜捕鯨問題の謎に迫る〜』
- ゲーム
紋章
紋章学上、イルカは魚に似た形に描かれることが多い。イルカを配した紋章の代表的な例にフランスのドーフィネがある。またバルバドスの国章は盾の両脇のサポーターとしてペリカンとイルカをあしらっている。アンギラの紋章にはより現代的デザインのイルカが描かれている。
ドーフィネの紋章
ヴェネツィアのドルフィン家 (it:Dolfin (famiglia)) の紋章
アンギラの紋章
イルカをシンボルに用いる職業
- アメリカ海軍や海上自衛隊において潜水艦乗組員の徽章は二匹のシャチをあしらったデザインだが、これを「ドルフィンマーク」と称して潜水艦乗りの別名となっている。
- 旧日本国有鉄道が運航していた青函連絡船では、各船ごとにイルカと救命浮標をデザインした固有のシンボルマークが用いられていた。
その他
イルカの色は本来灰色だが、イラストやぬいぐるみでは背中側が水色、腹側が白で表現される事が多い。
脚注
参考文献
- 「クジラ・イルカ ハンドブック」S・レザーウッド、R・リーヴス……この項のイルカの分類と名称は完全にこの書に負っている。
- 雑誌「GEO」1998年5月号、同朋舎刊……特集記事「イルカ大百科」のなかで、マレー湾でのハンドウイルカたちによるネズミイルカの殺害のエピソードが載っている。
- 『イルカが知りたい どう考えどう伝えているのか』村山司、講談社選書メチエ
- 『イルカと話す日』ジョン・C・リリー、NTT出版
- 『イルカの大研究』佐藤一美、PHP研究所
- 宮田登『歴史と民俗のあいだ 海と都市の視点から』 2巻、吉川弘文館、東京都文京区〈歴史文化ライブラリー〉、1996年11月10日。ISBN 4-642-05402-2。
関連項目
外部リンク
- コリント湾でのイルカの動画(ギリシャ)
- イルカの飼育係というお仕事(1)、(2)、(3) - 中日新聞プラス
原獣亜綱 |
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基盤的分類群 |
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後獣類/有袋類 |
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真獣類/有胎盤類 |
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廃止・希 | |||||||||||||||||||||||||||
†は絶滅目 |