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センダン
センダン | ||||||||||||||||||||||||||||||
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センダンの花(2002年6月2日撮影)
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分類(APG III) | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
狭義: Melia azedarach L. var. subtripinnata Miq. (1867) 標準: Melia azedarach L. (1753) | ||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
センダン(栴檀)、オウチ(楝)、アミノキ | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
chinaberry | ||||||||||||||||||||||||||||||
変種・品種 | ||||||||||||||||||||||||||||||
センダン(栴檀、学名: Melia azedarach)は、センダン科センダン属に分類される落葉高木の1種。別名としてアフチ、オオチ、オウチ、アミノキなどがある。薬用植物の一つとしても知られ、果実はしもやけ、樹皮は虫下し、葉は虫除けにするなど、薬用に重宝された。リンネの『植物の種』(1753年) で記載された植物の一つでもある。
また、香木の栴檀はインドネシア原産のビャクダン(ビャクダン科)のことを指し、センダンのほうは特別な香りを持たない。
分布・生育地
順応性の高い種であり、原産地のヒマラヤ山麓のほか、中国・台湾・朝鮮半島南部および日本などの乾燥した熱帯から温帯域に分布する。日本では、本州(伊豆半島以西)、伊豆諸島、四国、九州、沖縄に分布する。
温暖な地域の、海岸近くや森林辺縁に多く自生する。庭木や公園、寺院、街路樹にも植えられていて、しばしば植えられたものが野生化もしている。
特徴
落葉高木で、樹高は5 - 20メートル (m) ほどで、成長が早い。枝は太い方で、四方に広がって伸び、傘状あるいは、エノキに雰囲気が似た丸い樹形の大木になる。成木の幹は目通り径で約25センチメートル (cm) ほどになる。若い樹皮は暗緑色で楕円形の白っぽい皮目が多くよく目立つが、太い幹は黒褐色で樹皮は縦に裂け、顕著な凹凸ができる。夏の日の午後は梢にクマゼミが多数止まり、樹液を吸う様子が見られる。
葉は、2回奇数羽状複葉で互生し、一枚の葉全体の長さは50 cm以上ある。小葉は3 - 6 cmの長さがあり、葉身は先が尖った卵状楕円形で革質で薄い。葉縁に浅い鋸歯があり、さらに大きく切れ込むことがある。
花期は初夏(5 - 6月頃)で、本年枝の葉腋から花序を出して、淡紫色の5弁の花を多数、円錐状につける。花序の長さは10 - 20 cm。花弁は長さ8 - 9ミリメートル (mm) で、表が白色、裏が薄紫色で、10個ある雄しべは濃紫色をしている。花は美しさが感じられ、アゲハチョウ類がよく訪れる。なお、南方熊楠が死の直前に「紫の花が見える」と言ったのはセンダンのことだったと言われている。
果期は秋(10月ごろ)。果実は長径17 mmほどの楕円形の核果で、晩秋(10 - 12月頃)に黄褐色に熟す。秋が深まり落葉しても、しばらくは梢に果実がぶら下がって残るため目立つ。果実は果肉が少なく核が1 cm前後と大きく、上から見ると星形をしている。果実はヒヨドリやカラスなどの鳥が食べに訪れ、種が運ばれて空き地や道端に野生化することもある。しかしサポニンを多く含むため、人や犬が食べると食中毒を起こし、摂取量が多いと死亡する。
冬芽は落葉後の葉腋に互生し、半球状で細かい毛で覆われている。葉痕は倒松形やT字形で、維管束痕は3個あり、白くて大きいのでよく目立つ。冬芽がついた枝先には、星状毛が残ることもある。
葉や木材には弱い芳香がある。背が高い上に、新芽・開花・実生・落葉と季節ごとの見かけの変化も大きく、森林内でも目立ちやすい。
利用
樹木は、街路樹、庭木、公園樹に植えられている。枝は横に大きく被さるように出ることから、街路樹としての機能性に優れている。材は建築・器具用材、家具にもなり、下駄の材や、仏像彫刻に使われたこともある。ミンディ材と書かれているのはこのセンダンのこと。ケヤキの模擬材として使われることもある。また核(種子)は数珠の珠にする。
材を林業として利用する場合は、苗を植えて15 - 20年で木材に製材できる。このため日本の熊本県天草市では、中山間地域にある耕作放棄地の活用策として植林されている。
薬効
果実は 生薬の苦楝子(くれんし)もしくは川楝子(せんれんし)と称して、ひび、あかぎれ、しもやけに外用し、整腸薬、鎮痛剤として煎じて内服した。樹皮は生薬の苦楝皮(くれんぴ)と称して、駆虫剤(虫下し)として煎液を内服した。樹皮には苦味成分があり、漁に使う魚毒にも使われた。葉は強い除虫効果を持つため、かつては農家において除虫に用いられていた。
沖縄県に自生するセンダンの抽出成分が、インフルエンザウイルスを不活化させることが報告された。根路銘国昭、山本雅は同成分ががん細胞のオートファジー(自食作用)を促進させ、死滅させることを発見した。70種類のがんでセンダンの抗がん作用を確認した。センダンの抗がん作用は、マウス実験、犬への投与で実証され、アメリカのガン研究学術雑誌「American Journal of Cancer Research」が生物資源研究所(名護市)などの論文を掲載した。
自治体指定の木
日本の以下の自治体の指定の木である。括弧表記はかつて存在していた自治体。
- 市
- 町
- 村
-
- (上野村) - 沖縄県、現在は合併して宮古島市
文化
センダンの花言葉には、「意見の相違」がある。「栴檀は双葉より芳(かんば)し」ということわざが存在するが、これはセンダンではなくビャクダン(白檀)を指す。
『百年目』
落語の演目『百年目』にセンダンが登場する。センダンとその下に生えていた
古典文学
日本最古の和歌集である『万葉集』に収録されている恋愛歌のなかにもセンダンが登場している。平安時代の歌人・清少納言が『枕草子』のなかで、センダンの花を「楝(あふち)の花いとをかし」と書いて称えている。楝(アフチ)とは、センダンの古名である。
平安時代後期の『平家物語』では、壇ノ浦の戦いで捕えられて斬られた平宗盛・平清宗の父子が京都三条河原で生首をかけられた木として登場。もともと京都の左獄と右獄の門外にはオウチ(センダン)の木が植えられ、ここに首を架けられていたという。このころから江戸時代頃まで、獄門になった罪人の首を架ける木として忌み嫌われた。
脚注
注釈
参考文献
- 書籍
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- 足田輝一編『植物ことわざ事典』東京堂出版、1995年7月。ISBN 4-490-10394-8。
- 現代言語研究会編『すぐに役立つ故事ことわざ辞典』(改訂版)あすとろ出版、1996年1月25日。ISBN 4-7555-0808-8。
- 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日。ISBN 4-522-21557-6。
- 西田尚道監修 学習研究社編『日本の樹木』学習研究社〈増補改訂ベストフィールド図鑑〉、2000年4月7日。ISBN 978-4-05-403844-8。
- 辻井達一『続・日本の樹木』中央公論新社〈中公新書〉、2006年2月25日。ISBN 4-12-101834-6。
- 林将之『葉っぱで調べる身近な樹木図鑑』主婦の友社、2008年2月29日。ISBN 978-4-07-258098-1。
- 林将之『葉っぱで気になる木がわかる ― Q&Aで見わける350種 樹木鑑定』廣済堂あかつき、2011年6月1日、103頁。ISBN 978-4-331-51543-3。
- 菱山忠三郎監修 成美堂出版編『樹皮・葉でわかる樹木図鑑』成美堂出版、2011年6月。ISBN 978-4415310183。
- 田中潔『知っておきたい100の木 ― 日本の暮らしを支える樹木たち』主婦の友社〈主婦の友ベストBOOKS〉、2011年7月31日。ISBN 978-4-07-278497-6。
- 林弥栄『日本の樹木』(増補改訂新版)山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、2011年11月30日。ISBN 978-4635090438。
- 鈴木庸夫、高橋冬、安延尚文『樹皮と冬芽 ― 四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日。ISBN 978-4-416-61438-9。
- 論文
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- 根路銘国昭、向真一郎「インフルエンザの科学的予防法 ― センダン液でウイルスを殺す」『日本アンチエイジング歯科学会誌』第4号、日本アンチエイジング歯科学会、2011年12月、68-72頁、NAID 40019259583。
- 新聞
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- 「センダン 皮膚湿疹や疥癬にも」『日本農業新聞』、2013年3月13日。2021年4月9日閲覧。
- 「木材用センダン 放棄地と相性良し/熊本 中山間で植林進む/2年で4メートル◆手間少なく◆雑草減少」『日本農業新聞』、2019年12月19日、16面。2019年12月21日閲覧。オリジナルの2019年12月19日時点におけるアーカイブ。
- オンライン・データベース
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米倉浩司; 梶田忠. “植物和名―学名インデックス YList”. 2021年4月9日閲覧。
- “Melia azedarach L. var. japonica (G.Don) Makino” (2012年5月13日)。
- “Melia azedarach L.” (2017年3月29日)。
- “Melia azedarach L. var. subtripinnata Miq.”(2018年2月4日)。
- “Melia azedarach (Chinaberry)”. Invasive Species Compendium. CABI (2019年11月22日). 2021年4月9日閲覧。
- “Melia azedarach L.”, “Melia azedarach var. umbraculifera Knox”. ITIS (英語). 2012年5月30日閲覧。
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米倉浩司; 梶田忠. “植物和名―学名インデックス YList”. 2021年4月9日閲覧。
- その他ウェブページ
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- “せんだん(Melia azedarach)”. 熊本大学薬学部. 今月の薬用植物 (2004年1月). 2021年4月9日閲覧。
関連項目
- センダングサ - キク科の一年草。葉の形がセンダンに似る。
- インドセンダン - センダン科アザディラクタ属に属するインド原産の常緑樹。別名ニーム。インドにおいて伝統的にハーブとして用いられ、またニームオイル・ニームケーキとして害虫忌避剤や肥料として用いられる。こちらにはセンダンに見られるような強い毒性は無い。
- ナンテン
- 木の一覧
- 金杉橋 - かつて橋の近くに存在したセンダンの巨木が光って見えたことから名付けられた。
外部リンク
- "Melia azedarach". National Center for Biotechnology Information (NCBI) (英語). (英語)
- "Melia azedarach" - Encyclopedia of Life (英語)