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ソルビトール
ソルビトール | |
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(2R,3S,4S,5S)-ヘキサン-1,2,3,4,5,6-ヘキソール | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 50-70-4 |
PubChem | 82170 |
E番号 | E420 (増粘剤、安定剤、乳化剤) |
MeSH | Sorbitol |
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特性 | |
化学式 | C6H14O6 |
モル質量 | 182.17 g/mol |
密度 | 1.489 g/cm3 |
融点 |
95 °C |
沸点 |
296 °C |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
ソルビトール (sorbitol) はグルコースを還元し、アルデヒド基をヒドロキシ基に変換して得られる糖アルコールの一種。ソルビット (sorbit) またはグルシトール (glucitol) ともいう。甘味があり、食品添加物などに用いられる。
バラ科ナナカマド属 (Sorbus) の植物から発見された糖アルコールのため、ソルビトールと命名された。 糖尿病患者には有毒となる。
植物体内での機能
バラ科の植物は、光合成産物のデンプンを篩管を通じて転流するときに、デンプンの加水分解で生じたグルコースをソルビトールに変換する。スターキングデリシャスなど、リンゴの品種の一部では、果実内に転流してきたソルビトールを、グルコースやフルクトースといった糖に変換する代謝系が果実の成熟に伴って停止しても、果実内へのソルビトールの転流は継続する。そのため、果実内の維管束周辺にソルビトールが蓄積していわゆるリンゴの「蜜」と呼ばれる半透明部分を形成し、果実の成熟の指標となる。
生理学
ソルビトールは、動物の体内ではグルコース(ブドウ糖)をアルデヒド基の還元によってソルビトールにした上で、再度別のヒドロキシ基を酸化し、ケトン基とすることでフルクトース(果糖)を生成する(ポリオール経路)。そのため、精子の活動時の栄養源として精液中のフルクトースを合成する精嚢内にその存在が確認されている。
ヒトの糖尿病性神経障害の原因のひとつが、神経にソルビトールが溜まることであると考えられている。アルドース還元酵素によりソルビトールが作られるので、「アルドース還元酵素阻害薬」という薬でこの酵素の働きを抑えて生成されないようにしている。
歯への影響
ソルビトール(ソルビット)は、歯科・口腔衛生分野において、甘味料、湿潤剤(口腔内全域を覆うとともに隙間にも浸透する)として広く用いられており、一般に「虫歯(う蝕)の原因にならない」「酸を生成しない」とされているが、実際には砂糖(スクロース)より速度的により遅くはあるが酸を生成し、その酸が虫歯の原因になる可能性がある。
また、Streptococcus mutansを含むStreptococcusにはソルビトールからの酸生成を行う能力がある事が知られている。
用途
甘味料
同じ重量の砂糖と比べてカロリーが75%程度と低いため、ダイエット食品、菓子などの低カロリー食品の甘味料として使用されている。しかし、甘味度は砂糖と比べて60%程度しかないので、同じ甘さを得るためには砂糖よりも多く加える必要がある。また、水に溶解する際に吸熱反応を起こし、口の中でひんやりとした感触がすることから、飴・ガムやスナック菓子などに清涼剤として用いられる。
改良剤
蒲鉾などの 魚肉練り製品に砂糖などと共に添加することで、水分を保持しやすく、冷凍しても変質しなくなるほか、成形後の製品の食感を保持する効果がある。このため、改良剤としても使用される。また、黄金かまぼこと呼ばれる商品では、タンパク質が糖-アミノ反応(メイラード反応)を起こすことで金色に発色させる効果も利用されている。
医薬
歯磨剤、洗口液、うがい薬、下剤、栄養剤、浣腸液などの医療用途にも使われている。
化粧品・アメニティ
品質保持、凍結防止、透明性向上などの目的で、うがい薬や練り歯磨きにも添加されている。
燃料
硝酸カリウムと混合して、模型ロケットの燃料に使われる。
脚注
関連項目
- マンニトール - ソルビトールの異性体