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トラコーマ

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トラコーマTrachoma)は、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)を病原体とする感染症
伝染性の急性および慢性角結膜炎。
別名はトラホーム(Trachom、トラコーマのドイツ語読み)、顆粒性結膜炎エジプト眼炎

原因

微生物であるクラミジア・トラコマチスによる感染症である。流行地ではクラミジア・トラコマチスのA,B,C型が、垂直感染ではD,E,F,G型が病原体となることが多い。

最近、クラミジア・トラコマチス以外のクラミジアがトラコーマの原因となりうることを示す研究成果が発表された(PLoS Med 5(1): e14)。

感染力が強く、患部の直接接触による感染のほか、ハエなどの媒介者や、手指やタオルなどを介した間接接触による感染も多い。また、母親が性器クラミジア感染症を持つ場合、分娩時に産道で垂直感染することがある。

疫学

先進国では殆ど見られなくなったが、アジアアフリカ発展途上国ではいまだに流行が見られる。2016年時点でも、流行地域の就学前児童の60-90%が感染し、年間190万人がトラコーマにより失明または視覚障害となっている。先進国でも見られるトラコーマは、殆どが垂直感染によるものである。

日本でも、児童を中心に流行した。1919年3月27日にはトラホーム予防法が公布され、1920年には財団法人日本トラホーム予防協会(現・公益財団法人日本失明予防協会)が設立されるなど、専門的な予防や治療が行われた。第二次世界大戦後、クロルテトラサイクリン(オーレオマイシン)が治療に用いられるようになったことで症例は飛躍的に減少し、1983年にトラホーム予防法は廃止された。

症状

病原菌は結膜上皮細胞内に寄生する。初期には結膜に濾胞や瘢痕を形成したり、乳頭増殖したりする。その結果、充血や眼脂が見られる。慢性期には血管新生が見られ、トラコーマパンヌスと呼ばれる状態になる。

その後瘢痕を残し治癒することもあるが、さらに重症となり、上眼瞼が肥厚することがある。その結果睫毛が偏位し角膜に接触するため、瞬きするたびに角膜を刺激し、角膜潰瘍を引き起こす。そこに重感染が起こることで、失明や非可逆性の病変を残すこととなる。

産道感染例では重症化することはほとんど無い。偽膜形成が見られる。現在は、出生直後に点眼薬を点眼する病院も多い。

治療

テトラサイクリンアジスロマイシンニューキノロン系抗生物質を内服あるいは点眼する。肥厚した上眼瞼は、手術による除去も可能である。

予後

適切な治療が行われれば完全に治癒し、死亡例は無い。

予防

清潔な水による洗面洗眼上水道下水道の整備による正常な水や清潔な環境の整備、家畜とヒトの住居を離すなどの予防方法が挙げられる。


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