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ネルフィナビル

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ネルフィナビル
Nelfinavir structure.svg
Nelfinavir ball-and-stick.png
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
販売名 Viracept
Drugs.com monograph
MedlinePlus a697034
ライセンス US Daily Med:リンク
法的規制
投与方法 By mouth
薬物動態データ
生物学的利用能 Uncertain; increases when taking with food
血漿タンパク結合 >98%
代謝 Liver by CYP including CYP3A4 and CYP2C19
半減期 3.5–5 hours
排泄 feces (87%), urine (1–2%)
識別
CAS番号
159989-64-7 チェック
ATCコード J05AE04 (WHO)
PubChem CID: 64143
DrugBank DB00220 チェック
ChemSpider 57718 チェック
UNII HO3OGH5D7I チェック
KEGG D08259  チェック
ChEBI CHEBI:7496 ×
ChEMBL CHEMBL1159655 ×
NIAID ChemDB 028590
化学的データ
化学式 C32H45N3O4S
分子量 567.79 g·mol−1
物理的データ
融点 349.94 °C (661.89 °F)

ネルフィナビル(Nelfinavir、NFV)は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の治療に用いられる抗レトロウイルス薬である。ネルフィナビルは、プロテアーゼ阻害薬(PI)と呼ばれる種類の薬剤に属し、他のPIと同様に、ほとんどの場合、他の抗レトロウイルス剤と組み合わせて使用される。ネルフィナビルは、SARS-コロナウイルスに対する治療効果が確認されており、COVID-19に対する治療効果も検証されている。

ネルフィナビルは、経口投与可能なヒト免疫不全ウイルスHIV-1プロテアーゼ阻害薬(Ki=2nM)であり、HIV感染症の治療においてHIV逆転写酵素阻害剤との併用で広く処方されている。

米国では1997年より臨床に用いられている。

日本では1998年3月に承認されたが、2017年に販売終了した。

効能・効果

HIV感染症

副作用

一般的な(1%以上)副作用には、インスリン抵抗性高血糖リポジストロフィーなどがある。

ネルフィナビルには多彩な副作用がある。1%以上に鼓腸、下痢、腹痛が見られる。疲労、排尿、発疹、口内炎、肝炎などは頻度が低い(0.1 - 1%)。まれに、腎結石症関節痛、白血球減少症、膵炎アレルギー反応が起こることがある(0.1%未満)。

他の効果

抗ウイルス作用

ネルフィナビルは、単純ヘルペス1ウイルスおよびカポジ肉腫関連ヘルペスウイルスの成熟および放出を阻害する。

COVID-19治療薬として

2020年、ネルフィナビルとセファランチンとの組み合わせが、COVID-19の治療法として検討された。

抗癌剤としての可能性

2009年以降、ネルフィナビルの抗癌剤としての可能性が検討されている。培養(in vitro )中の癌細胞にネルフィナビルを作用させると、様々な種類の癌の成長を抑制し、細胞死(アポトーシス)を引き起こすことができる。ネルフィナビルを前立腺や脳の腫瘍を持つ実験用マウスに投与したところ、腫瘍の成長を抑制することができた。細胞レベルでは、ネルフィナビルは癌の成長を抑制するために複数の作用を発揮する。主な作用は、Akt/PKBシグナル伝達経路の阻害と、小胞体ストレスの惹起およびそれに続く異常タンパク応答の2つであると考えられている。

米国では、ネルフィナビルがヒトにおける癌治療薬として有効であるか否かを確認するために、約30の臨床試験が実施されていた。これらの臨床試験の中には、ネルフィナビルを単独で使用するものも、既存の化学療法放射線療法など、他の癌治療法と併用するものも含まれていた。

2021年4月現在、癌の第III相臨床試験は登録されていない。

抗病原性活性

ネルフィナビルとその単純な誘導体は、ヒトの病原体であるStreptococcus pyogenesが産生する病原性因子ストレプトリジンS(ヒトへの病原性を有する化膿レンサ球菌が産生する細胞溶解素)の産生を阻害することが判明している。ネルフィナビルとその関連分子は、検出可能な抗生物質活性を示さなかったが、他の細菌によるプランタゾリシン(抗生物質)、リステリオリシンS(細胞溶解素)、クロストリジオリシンS(細胞溶解素)などの他の生物学的活性分子の産生も阻害した。

相互作用

ネルフィナビルの相互作用プロファイルは、他のプロテアーゼ阻害剤と類似している。ほとんどの相互作用は、ネルフィナビルが代謝されるシトクロムP450アイソザイムCYP3A4およびCYP2C19で生じる。

副作用

ネルフィナビルは食事と一緒に摂取する必要がある。食事と一緒に服用することで、副作用としての下痢のリスクが減少する。

作用機序

ネルフィナビルはプロテアーゼ阻害薬であり、HIV-1およびHIV-2のプロテアーゼを阻害する。HIVプロテアーゼはアスパラギン酸プロテアーゼであり、ウイルスのタンパク質分子をより小さな断片に分割するもので、細胞内でのウイルスの複製と、感染細胞からの成熟したウイルス粒子の放出の両方に不可欠である。ネルフィナビルは競合阻害剤(2nM)であり、中央のアミノ酸残基模倣部位にケト基ではなくヒドロキシル基が存在するため、酵素にしっかりと結合し切断されないように設計されている(そうでなければS-フェニルシステインに分割される)。すべてのプロテアーゼ阻害薬はプロテアーゼに結合するが、分子がプロテアーゼをどのように阻害するかはその結合方法の詳細で決定される。ネルフィナビルの酵素への結合方法は、他のPIとの交差耐性を軽減するのに十分な独自性を持っていると考えられる。また、すべてのPIがHIV-1とHIV-2の両方のプロテアーゼを阻害するわけではない。

承認

ネルフィナビルは、イーライ・リリー・アンド・カンパニーとの合弁事業の一環として、アゴロン・ファーマシューティカルズが開発した。アゴロン・ファーマシューティカルズ社は1999年にワーナー・ランバート社に買収され、現在はファイザー社の子会社となっている。欧州ではホフマン・ラ・ロシュ社、その他の地域ではヴィーブ・ヘルスケア社が販売している。日本では、日本たばこ産業株式会社が製造(輸入)し、鳥居薬品株式会社が販売していた。

米国では1997年3月に承認された。

欧州では1998年1月に承認された。

日本では1998年3月に承認された。

メタンスルホン酸エチル(EMS)混入

2007年6月6日、米国医薬品・ヘルスケア製品規制庁(Medicines and Healthcare Products Regulatory Agency)と欧州医薬品庁(European Medicines Agency)は、一部のロットに癌を誘発する可能性のある化学物質が混入している可能性があるとして、流通しているすべての医薬品の回収を求める警告を出した。日本には該当するロットは輸入されていなかったが、2007年9月に販売会社より医師向けに「重要なお知らせ」が配布された。

関連項目

  • サキナビル(同じデカヒドロイソキノリン骨格を持つ)

参考資料

関連文献

外部リンク

  • Nelfinavir”. Drug Information Portal. U.S. National Library of Medicine. 2021年4月2日閲覧。

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