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不和の林檎

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『不和の黄金の林檎』(1633年、ヤーコブ・ヨルダーンス/画)

不和の林檎(ふわのりんご、Apple of Discord)は、ギリシア神話において、トロイア戦争の発端とされる事件である。

アイアコスの子・ペーレウスと海の女神・テティスの結婚式には全ての神々が招かれた中、ただ一柱、不和と争いを司る女神・エリスは招待されなかった。彼女は怒り、宴会の席に「最も美しい女神に(καλλίστῃ)」という文字が書かれた黄金の林檎を投げ入れた。ゼウスの妻・ヘーラー、戦いと知恵の女神・アテーナー、愛と美の女神・アプロディーテーは、それぞれ自分が一番美しい容貌の持ち主であるとして、この林檎を得るために争った。その後の出来事はパリスの審判を参照。

この事から、「不和の林檎」という言葉は、論争の要点や、小さな出来事が大事になることを表す言葉となった。

派生的用法

この事から、ギリシア神話のエリスと同一視されるローマ神話の女神はディスコルディア(Discordia)と呼ばれる。また、ドイツ語及びオランダ語では、この語は英語よりもより口語的に使用され、ドイツ語では"Zankapfel"(口論の-林檎)、あるいは"Erisapfel"(エリスの林檎)、オランダ語では"twistappel"(争いの林檎)と呼ばれる。

バルセロナの行政区・アシャンプラでは、スペイン語でLa manzana de la discordia(カタルーニャ語: L'illa de la discòrdia)と呼ばれる一角がある。"manzana"(マンサナ)は、「林檎」と「街の一区画」の両方を表すスペイン語である。モダニズム建築の4つの建造物(アントニ・ガウディカサ・バトリョリュイス・ドメネク・イ・ムンタネーのカサ・リェオ・モレラ、ジュゼップ・プッチ・イ・カダファルクのカサ・アマトリェール、Enric SagnierのCasa Mulleras)があることから、「不和の区画」を意味するこの名が付けられた。

参考文献

  • フェリックス・ギラン/著 『ギリシア神話』 青土社、137頁
  • 山室静/著 『ギリシャ神話〈付・北欧神話〉』 社会思想社、204頁
  • B・エヴスリン/著、小林稔/訳 『ギリシア神話小事典』 社会思想社、214頁

脚注

関連項目


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