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明晰夢

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明晰夢(めいせきむ、英語: Lucid dreaming)とは、睡眠中にみるのうち、自分で夢であると自覚しながら見ている夢のことである。明晰夢の経験者はしばしば、夢の状況を自分の思い通りに変化させられると語っている。

メカニズム

脳内において思考・意識・長期記憶などに関わる前頭葉等が、海馬などと連携し、覚醒時に入力された情報を整理する前段階(夢)において、前頭葉が半覚醒状態の為に起こると考えられ、明晰夢の内容は見ている本人がある程度コントロールしたり、悪夢を自分の望む内容(厳密に言えば無意識的な夢と意識的な想像の中間的な状態)に変えたり、思い通りの事を(実現可能な範囲内で)覚醒時に体験したりすることが可能である。明晰夢自体は睡眠時に誰にでも起こりうる生理的現象であるが、睡眠時に常に起こるわけではない。どのような条件下で夢を自覚するのかについては特定されていないため、意図的に明晰夢を見る確実な方法はない。

しかし、くり返し明晰夢を体験したという人々の経験が文献等で断片的に語られるケースがある。次節「明晰夢を見る方法」では、そうした体験談からの伝聞に基づく「明晰夢の見方」を挙げる。

明晰夢を見る方法

明晰夢を繰り返し見た人々によって断片的に語られる方法

明晰夢を見る最低限の条件として、まず「眠る」必要があり、次に「夢を自覚した段階で起きてしまわない」必要がある。

  • 眠る: 眠るべき時、速やかに眠れるようになる事が望ましい。床に就いてからなるべく早く眠るために、眠る前に体の凝りをほぐす、足を温めて眠る、排泄食事等を調節する、寝具を調整する、周囲で大きな音がしないようにするなど、眠り易い条件を整える。
  • 夢を自覚しても起きない: 夢を自覚した時、その事で驚いたり、あるいは怖がってはいけない(金縛りが起こると、誰かにしがみつかれたように感じるため、幽霊などを連想し恐怖を覚えやすい)。驚きや恐怖で心拍数が上がると睡眠状態から活動状態に移行し、覚醒してしまう。又興奮すると、心拍数の上昇と共に体温が上がり、より容易に覚醒してしまう。 又、思考を活発化させる事も、覚醒の要因になる。進行中の夢のイメージ形成に逆らって周囲の様子を強いて変化させようとするなど、複雑な思考をした途端、目が覚め易くなる。目が覚めそうになると急速に周囲の像がぼやけてくる。完全に起きてしまう前に、「手近にあるもの(夢の中で)」を触ってそのままじっとしていると、うまく行けば目覚めずに、再び眠りが深くなる。そして周囲が再び視覚的な像を結ぶのを待つ。

明晰夢を見る人の中には、上記よりもっと直接的に「夢を自覚する」方法を主張する人がいる。このような主張に基づく方法で明晰夢を見るには、ある程度の訓練と慣れが必要とされる。このような「夢を自覚する」訓練の方法の例として、「夢の内容をできる限り思いだし、記録する」というものなどが挙げられる。またこのほか、金縛り状態のときや、二度寝した際に明晰夢を見やすいと言う意見もある。

MILD法

実験的研究で一定の効果が明らかになっている方法。まずは入眠から5時間後に1度覚醒し、直前に見た夢を思い出す。その後すぐに「次に見る夢を夢だと自覚する」といった言葉を心の中で唱え続けて、夢を自覚する意思を強く持ちながら再び入眠するというもの。明晰夢経験に乏しく、この方法を試して日が浅い者により効果的であることが分かっている。

脳への電気刺激

経頭蓋交流電気刺激(tACS)を用いて寝ている人の脳に微弱な低周波数電気信号を送ることで明晰夢に誘導する実験が成功したと報告されている。

応用

娯楽としての明晰夢

自分が思い描いたことを夢の中で実行できることから、一種のエンターテインメントとして楽しむことが可能である。

心的療法への活用

自らの深層の心の状態・本当の欲求願望などを探る上では、ある程度有効であると考えられ、現在、これを心的療法に活用が出来ないか研究がされている。

脚注

関連書籍

  • 高藤聡一郎、山梨 賢一 共著『あなたを変える夢見術入門』学習研究社、1985年。 
  • スティーヴン・ラバージ『明晰夢 夢見の技法』春秋社、2005年。 
  • マルコム・ゴドウィン『夢の劇場 明晰夢の世界』青土社、1998年。 
  • パトリシア・ガーフィールド『夢学 創造的な夢の見方と活用法』白揚社、1993年。 
  • Michael Raduga『THE PHASE: A Practical Guidebook』lulu.com、2011年。 

関連項目


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