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雪崩
雪崩(なだれ、英: Avalanche)とは、山岳部の斜面上に降り積もった雪が重力の影響により「なだれ(傾れ、頽れ)落ちる」自然現象である。
種類
雪崩の始動の仕方によって点発生/面発生、積雪のどの範囲が雪崩れたかによって表層/全層、積雪の湿り気により乾雪/湿雪、雪崩の形態により煙型/流れ型/複合型、などに分類でき、これらを組み合わせて表現する。これらとは別に懸垂氷河などの崩壊に伴う氷雪崩や雪庇の崩落によるブロック雪崩なども存在する。大量の水を含んだ雪が流動する雪崩をスラッシュ雪崩という。
よく登山者やスキーヤー、バックカントリーをする人が遭遇するものには点発生表層雪崩(スラフ)、面発生表層雪崩(スラブ)があるが、特に広範囲で一斉に雪崩が発生する面発生表層雪崩は危険度が高い。なお、大規模な煙型乾雪表層雪崩のことを特に泡雪崩といい、富山県(黒部地方)などではホウと呼ばれ恐れられている。
急斜面(傾斜30度くらい)でも起こりやすい。
発生条件
雪崩の発生条件は様々で、単純な一般化は難しいが、降り積もった雪粒同士の結合がなんらかの外的要因(重力、圧力、気温の上昇など)によって壊された際に発生すると言える。
雪崩が発生する危険な状態に対する注意喚起として、日本では気象庁が雪崩注意報(なだれ注意報)を発表している。なお、雪崩では注意報は発令されるが警報は存在しない。
厳冬期、急激な気温の変化は、積雪内部に大きな温度差を生じさせる。これは「しもざらめ雪」と呼ばれる弱層が形成されることが多い。また、一度に大量の降雪があると、弱層の上に積もる雪に荷重が増す。 急な斜面の場合、弱層は支持力を失いやすくなり、雪崩が発生する危険も非常に高くなる。
このように、気象や気温の変化がきっかけとなる事の他、大きな雪崩の多くは、35から45度の急斜面で発生している。また、樹林帯のなかに一部分だけ樹木の生えていない斜面があったら、そこは雪崩が頻繁に起こっていることが多いものである。そのほか、雪庇や障害物のない広大な斜面、沢筋なども発生の確率が高くなる。砂防堰堤や治山ダムは、雪崩防止目的で設置されたものでないため、豪雪地帯ではこれらの施設に積もった雪によって逆に大規模な雪崩が発生する場合がある。
雪が積もり、雪崩が起きそうならば、そこへは不用意に入らず、雪崩を1回でも発見したらそこは雪崩多発の危険地帯であり再び雪崩が起きる可能性がある為、進まずにすぐ引き返すか安全な場所に避難するように注意が呼びかけられている。
なお、映画などに出てくるように「大きな声を出したら雪崩に遭う」ということはないが、音の発生源が地表に衝撃を与える物であった場合は雪崩の発生する可能性が高い。
対策
雪崩予防(アバランチコントロール)
雪崩を予防したり、その破壊力を弱めるための方法はいくつかあり、それらは、雪崩が人々に対する深刻な脅威となっている地域、たとえばスキー場・山奥の町・道路・鉄道などで用いられている方法である。広く雪崩の予防や雪崩被害を軽減する方法の総称としてアバランチコントロールと呼ばれる事もある。
アバランチコントロールには、後述の#雪崩と戦争にも取り上げている方法より見出された砲撃や爆薬を使って人工的に雪崩を起こして人為的に雪を取り除く方法が用いられる事がある。これらは雪崩発生の恐れがある大量積雪となる前に、あらかじめ小さな雪崩を起こすために行う事もある。なお、日本では火薬類取締法の制約を受けるために、爆薬ではなく煙火玉(花火の一種)が用いられる。そのほか、日本の事例としてスキー場では公認スキーパトロール要員によってスキーで雪庇や雪面に切れ目を入れて人工的に雪を崩すスキーカットと呼ばれる方法や、スコップで雪庇を崩す方法も行われる。
防雪フェンスや軽い壁を立てて、雪の積もる場所を変える方法もある。雪は壁の周り、中でも卓越風の風上側に溜まっていく一方、フェンスの風下には雪が溜まりにくくなる。これは、本来積もるはずであった雪がフェンスの所で積もってしまう事と、フェンスの所で雪を失った風によって元々あった雪が飛ばされる事による。十分な密度の森林があれば、それによって雪崩の強度は著しく弱められる。森林に降った雪は森林に留まるし、雪崩が起こった際には木々に当たって雪崩が減速される。スキー場建設の際に行われているように、植林したり森林を保存しておく事により、雪崩の強度を弱める事が出来る。スキー場以外でも、鉄道沿線に植林する事で雪崩被害を予防する方法がとられている例がある。たとえば北海道の函館本線は目名駅から倶知安駅を経て銀山駅あたりに至るまで、雪崩対策のための鉄道防雪林が造成されており、雪崩防止のみならず、吹雪の防止、吹き溜まりの防止の効果があるとされている。
雪崩テスト
雪崩に関する情報交流を行っている非営利団体カナダ雪崩協会(CAA)では、日本など様々な国に雪崩に対するトレーニングや情報交流を行うほか、『OBSERVATION GUIDELINES. AND RECORDING STANDARDS. FOR WEATHER, SNOWPACK. AND AVALANCHES』という無料の雪崩対策PDFを公開しており、その中でさまざまな雪崩が起こる積雪のチェック方法が掲載されている。
- 積雪断面観測
- 雪質チェック
- ハンドテスト - 雪の層にグローブを付けた拳を押してへこむ(F、硬度脆弱)、指4本(4F 硬度低い)、指1本(1F 硬度中)、鉛筆の尖ってない方、ナイフ
- 弱層テスト
- コンプレッションテスト - 上面30x30㎝の広さの雪の柱に掘り出す。柱が作成中に壊れたら脆弱、シャベルを上に置き上から手の先端、肘まで、腕全体でそれぞれ5-10回叩き壊れるか判断する。
- シャベルシアーテスト - 25㎝x35㎝の雪の柱を掘り出し、柱の側面にシャベルを押し当て積雪層に対して平行に力を加え崩れる強度と崩れ方を見る。
警報システム
現代のレーダー技術によって、いかなる天候の下でも、昼夜の別なく、広範囲を監視して雪崩の発生場所を検知することが可能となった。危険にさらされた地域を通行止めにする(例:鉄道や道路)、あるいは、その地域から避難させる(例:工事現場)ために、短時間のうちに雪崩を検知できる複雑な警報システムも存在する。そのようなシステムの例として挙げられるのが、スイスのツェルマットへの唯一のアクセス道路に設置されているものである。この道路から上の山岳斜面を二つのレーダーで監視している。システムが雪崩を検知したら、人的被害を防止するために、数秒以内で進入禁止柵や交通信号を起動して、道路を通行止めにする。
雪崩災害の歴史
雪崩の発生は数多いが、現場に建築物か人の通行がなければ被害は出ない。例えば、日本における雪崩被害発生数は通常、年間10件以下である。2003年は件数5、家屋被害3、死者1、負傷者4だった。
日本
日本における、人的な被害を生じさせた大規模な雪崩の被害は以下の例が挙げられる。
- 1883年(明治16年)3月12日 - 新潟県中頸城郡吉川町川谷(現在の上越市吉川区)にある旧黒姫神社の境内から京都府の真宗本廟(東本願寺)の再建のために切り出された巨木を運搬中、尾神嶽(尾神岳)中腹で幅200m、長さ100m以上の大雪崩が起こり、作業に従事していた50人以上が負傷、27人が死亡した。被災現場となった場所には惨事を伝えるための報尽碑が地元住民によって建立されている。また、真宗本廟内でもその惨事を伝承するために、巨木を運搬するために使われていた当時の大橇や鼻橇の一つと雪崩の被災状況を伝えるために作成されたジオラマが展示されているほか、真宗大谷派の関連寺院などによる法要も行われている。
- 1918年(大正7年)
- 1922年(大正11年)2月3日 - 新潟県西頸城郡青海村(のちの同郡青海町、現在の糸魚川市)の北陸本線親不知駅 - 青海駅間で、雪崩が発生し通過中の列車の客車2両が巻き込まれ脱線転覆した。死者90名。(北陸線列車雪崩直撃事故)
- 1930年(昭和5年)1月9日 - 富山県立山連峰の剱御前で雪崩が発生。直下の剱沢小屋を押し潰し、就寝中であった東京帝国大学OBら6名が巻き込まれて全員死亡する(剱沢小屋雪崩事故)。
- 1934年(昭和9年)1月21日 - 長野県浅間山の小浅間山南方の沢で雪崩が発生。スキー登山中であったを鉄道省職員ら6名が巻き込まれて全員死亡する(鉄道省山岳部遭難事故)。
- 1938年(昭和13年)12月27日 - 富山県下新川郡(のちの宇奈月町、現在の黒部市)の黒部峡谷志合谷で泡雪崩が発生。黒部川第三発電所建設にともなうトンネル工事現場の鉄筋・木造合い作りの宿舎の木造部分が600m以上も吹き飛ぶ。死者84人。
- 1939年(昭和14年)2月7日 - 滋賀県杉野村に存在していた土倉鉱山付近で雪崩が発生。飯場が2棟倒壊、埋没して死者10人、重傷者8人、軽傷者2人。
- 1940年(昭和15年)
- 1950年(昭和25年)12月30日 - 栃木県立佐野高等学校山岳部のパーティ11人が群馬県の谷川岳で雪崩に巻き込まれ、教員1人と生徒4人が死亡。この事故を契機に栃木県の高校を対象にした「春山安全登山講習会」が始まる。
- 1956年(昭和31年)
- 1957年(昭和32年)
- 1958年(昭和33年)2月2日 - 岩手県岩手郡雫石町で国有林の中にある炭焼き小屋2つが雪崩に襲われた。小屋は全壊し、4人が死亡した。
- 1959年(昭和34年)
- 1963年(昭和38年)1月24日 - 福井県勝山市野向町横倉にて表層雪崩が発生し、横倉集落の4家族16人が死亡した。
- 1965年(昭和40年)3月14日 - 北海道の日高山脈を登山中の北海道大学山岳部員6人が雪崩に遭遇。6人全員が死亡した。(札内川十の沢北海道大学山岳部遭難事件)
- 1969年12月26日 - 栃木県の日光白根山の天狗平付近で群馬工業高等専門学校のパーティーが雪崩に遭遇。これを救助しようとした玉川大学のワンダーフォーゲル部が現場に立ち入ったところ、再び発生した雪崩に巻き込まれ二重遭難。3人が死亡、2人が重軽傷。
- 1972年(昭和47年)11月21日 - 北海道大雪山系の旭岳(標高2,290m)で23時過ぎ頃、テントを張っていた大学生のグループに雪崩が襲った。死者5人。
- 1973年(昭和48年)11月20日 - 岐阜県吉城郡上宝村(現在の高山市奥飛騨温泉郷)の槍平で1時頃、テントを張っていた京都大学山岳部のグループに雪崩が襲い22人が巻き込まれ、うち5人が死亡。
- 1983年(昭和58年)3月21日 - 長野県の八ヶ岳連峰・阿弥陀岳(2807m)で、兵庫県の山岳会の11人と長野の登山客1人の合計12人が表層雪崩に巻き込まれ、全員が死亡した。
- 1986年(昭和61年)1月26日 - 新潟県西頸城郡能生町(現在の糸魚川市)権現岳中腹から23時頃泡雪崩が発生。柵口(ませぐち)集落を押し流す。死者13人、重軽傷者9人、家屋全半壊13戸。柵口地区の隣の田麦平地区での観測によると、発生当時の一日の降雪量は75cm、積雪深は370cmに達していた。その後も雪は降り続き2月7日にはついに600cmに達したと記録されている。(柵口雪崩災害)
- 1995年(平成7年)1月4日 - 長野県中央アルプス駒ヶ岳の千畳敷カール付近で、登山客6人が雪崩に巻き込まれ、全員が死亡した。
- 2000年(平成12年)3月27日 - 岐阜県吉城郡上宝村(現在の高山市奥飛騨温泉郷)左俣谷で雪崩が発生。建設現場で除雪作業をしていた作業員が巻き込まれる。死者2人。
- 2007年(平成19年)
- 2012年(平成24年)2月1日 - 秋田県仙北市にある玉川温泉の岩盤浴場で4人が雪崩に巻き込まれる。死者3人。
- 2013年(平成25年)11月23日 - 富山県立山町の立山連峰・真砂岳の西側斜面で、山スキー客が雪崩に巻き込まれる。死者7人。
- 2016年(平成28年)3月25日、長野県の八ケ岳連峰・阿弥陀岳で雪崩が起こり、登山者が1人死亡・2人重軽傷となった。
- 2017年(平成29年)3月27日 - 栃木県那須町の那須温泉ファミリースキー場付近で、春山安全登山講習会に参加していた栃木県の7つの高校の山岳部生徒41人と引率教員8人が雪崩に巻き込まれ、栃木県立大田原高等学校山岳部の生徒7人と教員1名の合計8人が死亡した(那須雪崩事故)。
- 2023年(令和5年)1月28日 - 長野県野沢温泉村の野沢温泉スキー場の管理区域外の斜面でスノーボードをしていた男性らが雪崩に捲き込まれ死亡。また、1月29日、同県小谷村の栂池高原スキー場近くの白馬乗鞍で雪崩が発生し、2015年FISフリースタイルスキー&スノーボード世界選手権大会の金メダリストであるアメリカ人のカイル・スメインと仲間が巻き込まれ死亡と雪崩の死亡事故が相次いだ。
アメリカ合衆国
- 1910年3月1日 - アメリカ合衆国ワシントン州で雪崩により列車が脱線、川に転落した。(グレート・ノーザン鉄道ウェリントン雪崩事故)
フランス
アフガニスタン
- 2010年2月8日 - サラン峠で大規模な雪崩が相次いで発生。通行中の車両が巻き込まれて166人以上が死亡。
- 2012年3月 - バダフシャーン州の村が丸ごと雪崩に巻き込まれ50人以上が死亡。また、ヌーリスターン州で45人以上が死亡。
- 2015年2月 - パンジシール州に大雪。パーヤン地区で雪崩が発生して280人以上が死亡。
- 2017年2月 - アフガニスタン各地で大雪による雪崩が多数発生。ヌーリスターン州で68人以上をはじめ全土で191人以上が死亡した。
トルコ
- 2020年2月4日、5日 - トルコ東部のヴァン県で雪崩が発生。直下の道路を走行していた小型バスなどが巻き込まれた。翌5日にかけて救出活動が行われたが、再び雪崩が発生、救助隊員が巻き込まれる二次災害となった。死者38人以上、負傷者53人以上。
スイス
- 1970年2月24日 - スイス南部ヴァレー地方の村レッキンゲンで雪崩が発生。死者30人はスイス史上最悪の数字となった。
- 2000年代以降 - スイスの雪崩による死者数は年間平均23人となっており、そのほとんどがバックカントリーでスキーやスノーボードをしていた者となっている。
雪崩と戦争
古くは紀元前218年のカルタゴの勇将ハンニバル率いるカルタゴ軍が、アルプス越えの際に雪崩の襲来で多数の死者を出したことが知られている。
第一次世界大戦当時、イタリア陸軍は冬のアルプス山脈を超えて進軍してくるオーストリア軍を迎え撃つにあたり、オーストリア軍が尾根を越えて下りに入ったところで背後を狙って砲撃し、着弾時の衝撃で雪崩を起こしこれに巻き込んで敵を生き埋めにする作戦をとった。また軍事作戦の都合が全てにおいて優先された結果、雪崩の頻発地帯においても部隊が配備され、行軍や陣地の設営などが行われたため、第一次大戦中、雪崩による死者は両軍で4万~5万人、一説には8万人にのぼるともいわれる。
これ以降、オーストリアやスイスでは、雪崩を軍事技術として重視した。特にスイスは空軍に「雪崩部隊」を創設し、冬になると雪崩起こしの猛訓練に励んだという。このため、第二次大戦中、ヒトラーもスイス侵攻を諦めたという。
現在ではこうした経験が生かされ、前述したアバランチコントロールの目的で人為的に小さな雪崩を発生させるために、雪崩の起き易い場所へ定期的に固定式や携帯式の小型火器を撃ち込んだり爆薬などを爆発させる方法が取られている。
雪崩と地形
雪崩多発地帯では、アバランチシュートといわれるU字谷に似た凹地を形成する。
雪崩と植生
雪崩の頻度によって撹乱の度合いが変わることで、植生自体が変わることがある。亜高山帯では、年に数十回雪崩が起こると裸地、年に数回だと草原、数年に一回だとダケカンバやナナカマドなどの低木、数十年に一回だと低木とオオシラビソとの混交林で、殆ど起こらない所ではオオシラビソの純林の植生となる。土壌などを考慮する必要もあるが、植生によって雪崩多発地帯をある程度判別することが可能である。
雪崩を利用した表現
- なだれ込む
- なだれ落ちる
- なだれを打つ
脚注
注釈
参考文献
- 阿部幹雄『ドキュメント雪崩遭難』山と溪谷社、2003年1月1日。ISBN 978-4-635-14003-4。
- 公益財団法人 全日本スキー連盟『日本スキー教程 安全編』山と渓谷社、2018年11月2日。ISBN 978-4-635-46022-4。
- 日本火薬工業会資料編集部『一般火薬学』永興印刷株式会社、1993年4月1日。
- 若濱五郎『雪と氷の世界―雪は天からの恵み』東海大学出版会、1995年4月。ISBN 978-4-486-01332-7。
- 国土開発調査会編、日本河川協会監修『河川便覧』(平成16年度版)、2004年。
- McClung, David and Shaerer, Peter: The Avalanche Handbook, The Mountaineers: 1993. ISBN 0-89886-364-3
関連項目
外部リンク
- 雪と氷の研究へようこそ - 日本雪氷学会
- 日本雪崩ネットワーク - 各地の雪崩情報がわかる
- 雪崩事故防止研究会
- NPO法人北海道雪崩研究会 - ウェイバックマシン(2005年1月19日アーカイブ分)
- 『雪崩』 - コトバンク
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