Продолжая использовать сайт, вы даете свое согласие на работу с этими файлами.
電波系
電波系(でんぱけい)は、荒唐無稽な妄想や主張を周囲に向かって公言する者のことを指すスラング。他に「電波」「デンパ」「デムパ」などと表記されることもある。
電波の送受信、交信は「ゆんゆん」「よんよん」「やんやん」という擬音で表現される。
概要
元々は「頭の中に何者かからの声、思考、指示、妨害が電波で届く」と訴える人のことを指していた。
こういう被害妄想の症状を発する者(統合失調症かつての精神分裂症患者に多い)は、かつて電波が一般的でなかった時代は「動物」や「霊」によるものともされ、「狐憑き」などと呼ばれていた。自分や周囲が「電波に操られている」という主張は、近代化により電波を受信し発声する機器が身近に置かれるようになる昭和期に現れ始め、「ラジオからの電波」から「テレビからの電波」といったように技術の進展に伴い“発生源”が変化してきている。
近年では、「部屋に盗聴器が仕掛けられている」「無線で思考を操作されている」「インターネットを通じて見張られている」「頭にマイクロチップ・RFIDを埋め込まれてコントロールされている」といった陰謀論的主張も見られるようになってきている。
また、1980年代後半より、電磁波の人体に対する影響が問題視され始め、特に頭部や脳への影響が示唆された。同時に身近に電子レンジ、電磁誘導加熱を用いた家電、携帯電話など強い電波を発する機器が溢れるようになり、電磁波攻撃を受けていると主張する者(電磁波過敏症)も出てくるようになった。
このような被害妄想の発現としての「電波」は、1981年(昭和56年)の深川通り魔殺人事件の犯人が、自らの行動を「電波が命令した」と証言したことで一般にも知られるようになってきた。
もっとも、一般化した「電波・電波系」という用語の使用法は、こういった厳密な医学的定義(統合失調症の診断など)に沿ったものではなく、単におかしな主張をする人や、社会常識に当てはまらない行動を取る人にまで用いられる。
そのような意味での電波系の使用は、サブカルチャーやオタク系の媒体で用いられることの多い表現で、電波系な人々と長期に渡ってやりとりを続けた『宝島30』『別冊宝島』などを出版していた宝島編集部、また電波系な人を国内のみならず韓国・北朝鮮にまで捜し求めた特殊漫画家の根本敬、自身がこのような症状に苛まれているとする鬼畜系ライターの村崎百郎らの活動が背景にある。彼らや創作の中で電波系を表現した者達により、1990年代前半より「電波」・「電波系」という言葉は広がっていった。
創作に表れた電波
漫画家・イラストレーターの渡辺和博は『ガロ』1980年9月号に『毒電波』という、させられ体験による「電波の攻撃に苦しむ人」が登場する漫画作品を発表しているが、これは被害を受ける側としての話だけでなく、電波を使って他者を制御する、という「させる側」としての電波表現も現れている。特殊漫画家の根本敬はこの漫画を読んだ後、実際に「電波」の攻撃を受けている人々に出会って驚き、自著で「電波」の存在を広めた。
デヴィッド・クローネンバーグによる1981年発表の映画『スキャナーズ』は、妊婦用睡眠薬の副作用により他者の思考が脳内に強制的に聞こえるようになった主人公らスキャナーが、意識を集中することで他者の神経に乗り移り、その行動を制御、果ては電話回線を通して電子機器の破壊まで行うものであった。このスキャナーズにおける、させられる、被害としての電波ではなく、相手を制御する・加害手法としての電波の使用は、日本の文芸作品に取り入れられていく。
音楽家・小説家の大槻ケンヂはその作品の多くで電波を表現し、様々な影響を与えた。また大槻はインディーズの時期から筋肉少女帯の歌詞や表題に「電波」を使用し、メジャーに出て以降も『妄想の男』『電波BOOGIE』『くるくる少女』などの楽曲に「電波」を組み込んだ。また『釈迦』や『僕の宗教へようこそ』では電波の発信源であるアンテナも登場し、電波体験と絡む表現を多用している。特に大槻が1992年に発表した小説『新興宗教オモイデ教』においては『スキャナーズ』同様に制御・加害手段として、念じるだけで他者の精神異常を誘発する電波「メグマ波」で敵対勢力を掃討する物語を描いた。
大槻の『新興宗教オモイデ教』と『くるぐる使い』に刺激されて、1996年1月に髙橋龍也の脚本による『雫』という美少女ゲームが発表された。この作中において、思考制御を引き起こす力は毒電波と表現されている。雫はヴィジュアルノベルという能動的に選択する小説とでもいうべき表現形態を十八禁美少女ゲームの業界に持ち込み、業界に大きな影響を与え、毒電波という語が、念により他者の思考を制御・脳神経を破壊し、対象を電波系と化すものとして広まることとなった。
このような他者からの思考伝播・制御を防ぐものとして、1927年にジュリアン・ハクスリーは『The Tissue-Culture King』において金属で頭部を包むことでテレパシーを防ぐ防具を発案しており、これがアルミ箔で頭部を包むティンホイル・ハットとして現代化し、日本でいうところの電波系の人を指す表象として定着している。
関連作品
- ライトノベル『電波女と青春男』: 著者: 入間人間、出版社: アスキー・メディアワークス (2009.1-2011.4)
- 同『電波的な彼女』: 著者: 片山憲太郎、出版社: 集英社 (2004/9)
- アダルトゲーム『雫』: 発売元: Leaf (1996/1)
- 同『さよならを教えて 〜comment te dire adieu〜』: 発売元: CRAFTWORK (2001/3)
- 同『ジサツのための101の方法』: 発売元: 公爵 (2001/10)
- 同『君と彼女と彼女の恋。』: 発売元: Nitroplus (2013/8)
- 少年漫画『電波教師』: 著者: 東毅、出版社: 小学館 (2011.11-2017.3)
脚注
参考文献
- 根本敬+村崎百郎『電波系』太田出版 1996年9月 ISBN 978-4872333053
- 根本敬『人生解毒波止場』洋泉社 1995年9月 ISBN 978-4896915778
- 扶桑社『SPA!』1995年11月1日号「電波系な人々大研究―巫女の神がかりからウィリアム・バロウズ、犬と会話できる異能者まで」
- 別冊宝島編集部『隣のサイコさん―電波系からアングラ精神病院まで!』別冊宝島281 宝島社 1996年11月 ISBN 978-4796692816
- 別冊宝島編集部『あなたの隣の電波さん』宝島社 2008年8月19日 ISBN 978-4796665797
- アスペクト編『村崎百郎の本』2010年12月 ISBN 978-4757218499
- 渡辺和博『お父さんのネジ』青林工藝舎 2007年12月 ISBN 978-4883792542
- 長山靖生「情報化社会はなぜ妄想にかられるのか?」『おかしいネット社会』宝島社 1999年2月 50-60頁
- 宮本直毅『エロゲー文化研究概論』総合科学出版 2013年 ISBN 978-4881818299
-
NHK教育テレビ『ニッポン戦後サブカルチャー史』
- シーズンⅢ第4回『サブカルチャーが迎えた「世紀末」』2016年6月19日放送
関連項目
- 差別用語
- 根本敬 - 因果(者)という独自の用語を軸に電波系の人々を広く取材した。
- 村崎百郎 - 生まれつき神や悪魔の声を「電波」として受信する特異体質であると自称し、電波系にまつわる体系的な考察を行った単行本『電波系』を根本敬との共著で上梓する。その後も村崎は虚実交えた寄稿を行った末、そのような表現にひきつけられた読者により2010年7月に殺害された。
- 幻の名盤解放同盟 - 根本敬によって主宰されている廃盤レコードの復刻活動を行っているユニットであるが、因果者探訪から旅行ガイドブック執筆まで活動の幅は広く、取材の過程で村崎百郎を輩出するなど電波系との関わりも深い。
- 鬼畜系 - かつて電波系という概念は鬼畜系サブカルチャーのひとつに位置づけられていた。
- きちがい - 電波系の類義語であるが、放送禁止用語のため使用上の制約がある場合、代替語として電波・電波系が使われることがある。
- 電波ソング - 派生的な使用例で、常識から外れたことを電子音楽にのせて歌う楽曲に用いられる。
- トリコじかけの明け暮れ - 根本敬が東京メトロ銀座線で採取した電波人間・湊昌子(港雅子)の造語。詩的な表現に感銘を受けた根本は著書などを通じてこの言葉を広め、電波系の代名詞となった。またこれにヒントを得た石野卓球は電気グルーヴの『虹』という曲の中で歌詞のフレーズにこの言葉を用いている。
- エレクトロニック・ハラスメント
- マイクロ波聴覚効果
- ティンホイル・ハット - 電磁波等、外部からの刺激を防ぐ事を期待され、アメリカ等で研究されている保護帽子の一種。
- 電気ショック療法 - メンタルヘルスに効果が期待され電気ショックを使った昔からある療法。
- エネルギー療法 体やメンタルの不調を薬を使わずに改善する事に期待される療法
- 波動 (オカルト) SF等での波動の扱われ方