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J・J・バッハオーフェン
ヨハン・ヤーコプ・バッハオーフェン(バッホーフェン、バホーフェン、Johann Jakob Bachofen、1815年12月22日 - 1887年11月25日)は、スイスの文化人類学者、社会学者、法学者。サヴィニーに強く影響を受けた歴史法学派の一員。
本業は法学者であるが、古代法の研究を通して古代社会についての造詣を深め、これをもとにした著作を発表して文化人類学に影響を与えた。特に、古代においては婚姻による夫婦関係は存在しなかったとする乱婚制論や、母権制論(1861年) を説いた。
人物
バッハオーフェンの研究はルイス・モルガンによる発展を介して、ヴァルター・ベンヤミン、エーリヒ・フロム、トーマス・マン、ロバート・グレーヴス、ライナー・マリア・リルケなどに多大な影響を与えた。エンゲルスは『家族・私有財産・国家の起源』の序文でバッハオーフェンについて大きく言及している。
バッハオーフェンは、文化進化の4つの段階を提案して考察を行った。
1) Hetairism。母権制前の乱婚の段階。プロトアプロディーテーを土着の支配的神と考えた。
2)Das Mutterecht。母権制。農業に基づく、常習的な神秘的カルトと法律の出現と一夫一婦制かつ女性支配の「月の」段階。初期のデメテルを支配的神と考えた。
3)Dionysian。家長制度が誕生し始めたため父権化する。オリジナルのディオニュソスを支配的神と考えた。
4)Apollonian。過去の Matriarchal と Dionysian のすべての痕跡が消える。そして、現代の文明があらわれてくる父権的な「太陽の」段階。
このモデルは20世紀に実証主義から批判が出されるまで影響力を保った(→地母神#母権制と女神の歴史)。
『西洋の神話学』その他を著したジョゼフ・キャンベルの注意を引いたように、バッハオーフェンの理論は結果として宗教・文化・社会のアーリア民族起源論に鋭い反対を突きつけている。
経歴
- 1815年 都市貴族の息子としてスイスのバーゼルに生まれる
- 1841年 - 1844年 バーゼル大学ローマ法教授に就任
- 1842年 - 1845年 バーゼル刑事裁判所判事
- 1845年 - 1866年 バーゼル控訴裁判所判事
訳書
- 『母権制序説』 吉原達也訳、創樹社、1989年/ちくま学芸文庫、2002年
- 『母権論序論 リュキア・クレタ』 佐藤信行ほか訳 三元社、1992年
- 『母権論 古代世界の女性支配に関する研究 その宗教的および法的本質』
- 『母権制 古代世界の女性支配 その宗教と法に関する研究』
関連項目
- ※いずれも影響、関連がある。