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アミロイド前駆体タンパク質

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APP
PBB Protein APP image.jpg
PDBに登録されている構造
PDB オルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
PDBのIDコード一覧

1AAP, 1AMB, 1AMC, 1AML, 1BA4, 1BA6, 1BJB, 1BJC, 1BRC, 1CA0, 1HZ3, 1IYT, 1MWP, 1OWT, 1QCM, 1QWP, 1QXC, 1QYT, 1TAW, 1TKN, 1X11, 1Z0Q, 1ZJD, 2BEG, 2BP4, 2FJZ, 2FK1, 2FK2, 2FK3, 2FKL, 2FMA, 2G47, 2IPU, 2LFM, 2LLM, 2LMN, 2LMO, 2LMP, 2LMQ, 2LOH, 2LP1, 2OTK, 2R0W, 2WK3, 2Y29, 2Y2A, 2Y3J, 2Y3K, 2Y3L, 3AYU, 3DXC, 3DXD, 3DXE, 3GCI, 3IFL, 3IFN, 3IFO, 3IFP, 3JTI, 3KTM, 3L33, 3L81, 3MOQ, 3NYL, 3SV1, 3U0T, 3UMH, 3UMI, 3UMK, 4HIX, 1ZE7, 1ZE9, 2LNQ, 2LZ3, 2LZ4, 2M4J, 2M9R, 2M9S, 2MGT, 2MJ1, 2MPZ, 2MVX, 2MXU, 3BAE, 3BKJ, 3JQ5, 3JQL, 3MXC, 3NYJ, 3OVJ, 3OW9, 4JFN, 4M1C, 4MDR, 4NGE, 4OJF, 4ONF, 4ONG, 4PQD, 4PWQ, 4MVI, 4MVK, 4MVL, 4XXD, 5CSZ, 5AMB, 5AEF, 5AM8, 5BUO, 5HOY, 5HOW, 5HOX, 5KK3, 5C67, 2NAO

識別子
記号 APP, AAA, ABETA, ABPP, AD1, APPI, CTFgamma, CVAP, PN-II, PN2, amyloid beta precursor protein, preA4, alpha-sAPP
外部ID OMIM: 104760 MGI: 88059 HomoloGene: 56379 GeneCards: APP
遺伝子の位置 (ヒト)
21番染色体 (ヒト)
染色体 21番染色体 (ヒト)
21番染色体 (ヒト)
APP遺伝子の位置
APP遺伝子の位置
バンド データ無し 開始点 25,880,550 bp
終点 26,171,128 bp
遺伝子の位置 (マウス)
16番染色体 (マウス)
染色体 16番染色体 (マウス)
16番染色体 (マウス)
APP遺伝子の位置
APP遺伝子の位置
バンド データ無し 開始点 84,746,573 bp
終点 84,970,654 bp
RNA発現パターン
PBB GE APP 200602 at.png

PBB GE APP 211277 x at.png

PBB GE APP 214953 s at.png
さらなる参照発現データ
遺伝子オントロジー
分子機能 heparin binding
受容体結合
acetylcholine receptor binding
金属イオン結合
酵素結合
peptidase activator activity
peptidase inhibitor activity
血漿タンパク結合
DNA結合
growth factor receptor binding
PTB domain binding
serine-type endopeptidase inhibitor activity
identical protein binding
遷移金属イオン結合
シグナル伝達受容体活性化因子活性
細胞の構成要素 細胞質
エンドソーム
細胞質基質
trans-Golgi network membrane

cell-cell junction
シナプス
細胞外領域
ciliary rootlet
spindle midzone
neuron projection
Q14349442
樹状突起スパイン
endosome lumen
dendritic shaft
cell surface
終末ボタン
脂質ラフト
エキソソーム
integral component of membrane
ゴルジ体
成長円錐
神経筋接合
receptor complex
細胞膜
apical part of cell
astrocyte projection
growth cone lamellipodium
神経繊維
nuclear envelope lumen
clathrin-coated pit
platelet alpha granule lumen
integral component of plasma membrane
main axon
smooth endoplasmic reticulum
COPII-coated ER to Golgi transport vesicle
growth cone filopodium
cytoplasmic vesicle
細胞外空間
Golgi lumen
perinuclear region of cytoplasm
early endosome
endoplasmic reticulum lumen
Golgi-associated vesicle
cell projection
細胞体
presynaptic active zone
recycling endosome
細胞核
シナプス小胞
生物学的プロセス cellular response to nerve growth factor stimulus
amyloid fibril formation
negative regulation of neuron differentiation
neuromuscular process controlling balance
タンパク質リン酸化
regulation of epidermal growth factor-activated receptor activity
cellular copper ion homeostasis
neuron projection development
cellular response to cAMP
suckling behavior
アポトーシス
locomotory behavior
adult locomotory behavior
positive regulation of mitotic cell cycle
axo-dendritic transport
酸化ストレスへの反応
mRNA polyadenylation
collateral sprouting in absence of injury
ionotropic glutamate receptor signaling pathway
Notchシグナリング
negative regulation of peptidase activity
smooth endoplasmic reticulum calcium ion homeostasis
synaptic assembly at neuromuscular junction
neuron remodeling
樹状突起発生
extracellular matrix organization
cholesterol metabolic process
mating behavior
cellular response to norepinephrine stimulus
神経系発生
細胞接着
response to lead ion
遺伝子発現調節
positive regulation of G2/M transition of mitotic cell cycle
axon midline choice point recognition
visual learning
エンドサイトーシス
axonogenesis
regulation of multicellular organism growth
platelet degranulation
positive regulation of peptidase activity
前脳発生
regulation of protein binding
regulation of translation
シナプスの構造または活動性の制御
細胞のプロセス
positive regulation of transcription by RNA polymerase II
negative regulation of endopeptidase activity
response to yeast
antibacterial humoral response
antifungal humoral response
自然免疫
defense response to Gram-negative bacterium
defense response to Gram-positive bacterium
neuron apoptotic process
positive regulation of protein phosphorylation
astrocyte activation involved in immune response
Gタンパク質共役受容体シグナル伝達経路
学習と記憶
学習
negative regulation of cell population proliferation
response to radiation
positive regulation of gene expression
遺伝子発現の負の調節
positive regulation of peptidyl-threonine phosphorylation
microglia development
regulation of Wnt signaling pathway
positive regulation of protein binding
tumor necrosis factor production
positive regulation of peptidyl-serine phosphorylation
positive regulation of phosphorylation
翻訳後修飾
positive regulation of JNK cascade
astrocyte activation
regulation of long-term neuronal synaptic plasticity
regulation of peptidyl-tyrosine phosphorylation
synapse organization
認識
positive regulation of DNA-binding transcription factor activity
positive regulation of NF-kappaB transcription factor activity
positive regulation of astrocyte activation
positive regulation of ERK1 and ERK2 cascade
cellular response to copper ion
cellular response to manganese ion
modulation of excitatory postsynaptic potential
regulation of spontaneous synaptic transmission
negative regulation of long-term synaptic potentiation
positive regulation of long-term synaptic potentiation
positive regulation of NIK/NF-kappaB signaling
positive regulation of amyloid-beta formation
positive regulation of microglial cell activation
cellular response to amyloid-beta
negative regulation of low-density lipoprotein receptor activity
regulation of presynapse assembly
positive regulation of amyloid fibril formation
neuron projection maintenance
positive regulation of signaling receptor activity
regulation of NMDA receptor activity
positive regulation of T cell migration
response to interleukin-1
positive regulation of glycolytic process
出典:Amigo / QuickGO
オルソログ
ヒト マウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)
NM_201414
NM_000484
NM_001136016
NM_001136129
NM_001136130

NM_001136131
NM_001204301
NM_001204302
NM_001204303
NM_201413
NM_001385253

NM_001198823
NM_001198824
NM_001198825
NM_001198826
NM_007471

RefSeq
(タンパク質)
NP_000475
NP_001129488
NP_001129601
NP_001129602
NP_001129603

NP_001191230
NP_001191231
NP_001191232
NP_958816
NP_958817

NP_001185752
NP_001185753
NP_001185754
NP_001185755
NP_031497

場所
(UCSC)
Chr 21: 25.88 – 26.17 Mb Chr 21: 84.75 – 84.97 Mb
PubMed検索
ウィキデータ
閲覧/編集 ヒト 閲覧/編集 マウス

アミロイド前駆体タンパク質(アミロイドぜんくたいタンパクしつ、: amyloid precursor protein、略称: APP)またはアミロイドβ前駆体タンパク質は、多くの組織で発現している内在性膜タンパク質で、神経細胞シナプスに濃縮されている。主要な機能は未知であるが、シナプス形成、神経可塑性、抗菌活性、排出の調節因子であると示唆されている。APPは、タンパク質分解によって形成されるアミロイドβ(Aβ)の前駆体として最もよく知られている。Aβは37–49アミノ酸残基からなるポリペプチドで、アミロイド型のAβはアルツハイマー病患者の脳に存在するアミロイド斑の主要な構成要素である。

遺伝子

APPは進化的に古くから存在し、高度に保存されたタンパク質である。ヒトのAPPをコードする遺伝子は21番染色体に位置し、290 kbにわたる18のエクソンからなる。ヒトでは、選択的スプライシングによるアイソフォームがいくつか観察されており、アミノ酸長は639–770アミノ酸の範囲である。神経細胞では特定のアイソフォームが選択的に発現しており、アイソフォームの比率の変化はアルツハイマー病と関係している。APPに相同なタンパク質は、ショウジョウバエDrosophila、線虫Caenorhabditis elegans、そしてすべての哺乳類で同定されている。タンパク質のAβ領域は膜貫通ドメインに位置し、種間での保存性ははっきりせず、APPの天然状態での生物学的機能との明確な関係もみられない。

Aβ生成領域を含むAPPの重要領域の変異は、アルツハイマー病に対する家族性の感受性を引き起こす。例えば、Aβ領域の外側のいくつかの変異は家族性アルツハイマー病と関係しており、Aβの産生が劇的に増加することが判明している。

APP遺伝子のA673T変異はアルツハイマー病に対する保護効果がある。この置換はβ-セクレターゼ切断部位に近接しており、in vitroではAβの形成は40%減少する。

構造

銅イオンと結合したAPPのCuBD。金属配位に関与する2つのヒスチジンと1つのチロシンの、Cu(I)結合状態、Cu(II)結合状態、非結合状態のコンフォメーションが示されているが、わずかな違いしか見られない。
細胞外のE2ドメインの二量体型コイルドコイル構造はショウジョウバエからヒトまで最も高度に保存されている領域の1つである。このドメインはスペクトリンの構造と類似しており、ヘパラン硫酸プロテオグリカンと結合すると考えられている。

APPの配列には、大部分が独立してフォールディングを行う、明確な構造ドメインが多数同定されている。細胞外領域は細胞内領域よりもずっと大きく、E1ドメインとE2ドメインに分けられ、両者は酸性ドメイン(AcD)によって連結されている。E1は成長因子様ドメイン(GFLD)と結合ドメイン(CuBD)の2つのサブドメインからなり、両者は密接に相互作用している。セリンプロテアーゼ阻害因子ドメインがAcDとE2ドメインの間に存在するが、脳で発現しているアイソフォームには存在しない。APPの完全な結晶構造は解かれていないが、個々のドメインの結晶化には成功しており、GFLD、CuBD、完全なE1ドメインとE2ドメインの構造が得られている。

翻訳後のプロセシング

APPは、グリコシル化リン酸化シアル酸化チロシン硫酸化を含む広範囲の翻訳後修飾を受けるとともに、多くのタイプのタンパク質分解によるプロセシングによってペプチド断片が作り出される。一般的に切断はセクレターゼファミリーのプロテアーゼによって行われ、α-セクレターゼβ-セクレターゼはともに細胞外ドメインをほぼ完全に切除する。その結果、アポトーシスと関係している可能性のある、膜に固定されたC末端フラグメントが生じる。β-セクレターゼによる切断後、γ-セクレターゼによって膜貫通ドメイン内で切断されることでAβフラグメントが形成される。γ-セクレターゼは複数のサブユニットからなる巨大複合体であり、その構成要素は完全には特定されていないものの、アルツハイマー病の主要な遺伝性危険因子として同定されているプレセニリンが含まれている。

APPのアミロイド形成性プロセシングは脂質ラフトの存在と関係している。APP分子が膜の脂質ラフト領域に存在するときにはβ-セクレターゼがAPPにアクセスしやすくそのため切断を行いやすくなるが、APPが脂質ラフト外に存在するときには非アミロイド形成性のα-セクレターゼによって切断されやすい。γ-セクレターゼの活性も脂質ラフトと関係している。コレステロールに脂質ラフトを維持する役割があることは、高コレステロールとアポリポプロテインEの遺伝子型がアルツハイマー病の主要な危険因子であるという観察結果の説明となる。

生物学的機能

APPの天然状態での生物学的役割はアルツハイマー病研究において関心が高いものの、未解明の部分が多い。

シナプス形成と修復

APPの役割として最もよく実証されているのは、シナプスの形成と修復である。APPの発現は神経細胞の分化の過程そして神経損傷後にアップレギュレーションされる。細胞シグナル伝達、長期増強細胞接着における役割が提唱されているが、それらを支持する研究は限られている。特に、翻訳後のプロセシングの類似性から、Notchシグナリングとの比較が行われている。

APPのノックアウトマウスは生存可能であり、一般的な神経消失を伴わない長期増強の障害と記憶消失を含む、比較的軽微な表現型を示す。一方、APPの発現をアップレギュレーションしたトランスジェニックマウスも長期増強の障害を示すことが報告されている。

論理的な推論としては、アルツハイマー病ではAβが過剰に蓄積しているため、その前駆体であるAPPも同様に増加していると考えられる。しかしながら、アミロイド斑に近接する神経細胞体のAPPの含有量は少ない。このAPPの欠乏は、切断の増加よりむしろ産生の減少によるものであることがデータからは示唆される。神経細胞におけるAPPの喪失は、認知症に寄与する生理学的な機能欠損に影響を与えている可能性がある。

体細胞組換え

ヒトの脳の神経細胞では、APPをコードする遺伝子で高頻度の体細胞組換えが生じている。孤発性アルツハイマー病患者の神経細胞では、健康な人の神経細胞よりも、体細胞組換えによるAPP遺伝子の多様性が増大している。

順行性軸索輸送

神経細胞の細胞体で合成された分子は、末端のシナプスへ輸送を行う必要がある。この輸送は、速い順行性輸送(fast anterograde transport)によって行われる。APPは積み荷とキネシンとの相互作用を媒介し、この輸送を促進することが示されている。具体的には、細胞質側のC末端側の15アミノ酸の短いペプチド配列がモータータンパク質との相互作用に必要とされる。APPとキネシンの間の相互作用はAPPのペプチド配列特異的であり、ペプチドを付加した蛍光ビーズを用いた輸送実験では、APPの15アミノ酸が付加されたビーズは輸送されたが、代わりにグリシンのみが付加されたビーズや他のペプチドが付加されたビーズは運動性を持たなかった。

鉄排出

マウスでの研究によってアルツハイマー病の異なる面が明らかにされた。APPはセルロプラスミンに似たフェロキシダーゼ活性を持ち、フェロポーチンとの相互作用によって鉄の排出を促進することが判明した。この活性は、アルツハイマー病では蓄積したAβにトラップされた亜鉛によってブロックされるようである。APPのmRNAの5'UTRには鉄応答性エレメント(IRE)が存在し、一塩基多型によって翻訳に異常が生じることが示されている。

一方、APPのE2ドメインがフェロキシダーゼ活性を持ち、Fe(II)の排出を促進するという仮説は、E2ドメインに提唱された部位はフェロキシダーゼ活性を持たないことから、不正確である可能性がある。

APPはE2ドメイン内でフェロキシダーゼ活性を持たないため、APPによって調節されるフェロポーチンからの鉄の排出機構に対して精査が行われている。あるモデルは、APPは鉄排出タンパク質フェロポーチンの細胞膜中での安定化作用をもち、それによって膜中のフェロポーチンの総数が増加していることを示唆している。鉄輸送体はその後、哺乳類の既知のフェロキシダーゼ(セルロプラスミンやヘファエスチン)によって活性化される。

ホルモンによる調節

APPとそれに関係するすべてのセクレターゼが発生初期に発現しており、生殖内分泌に重要な役割を果たしている。セクレターゼによるプロセシングの差によって、ヒト胚性幹細胞(hESC)の増殖や、神経前駆細胞(NPC)への分化が調節されている。妊娠ホルモンであるヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)はAPPの発現とhESCの増殖を増加させるが、プロゲステロンはAPPのプロセシングを非アミロイド形成性経路へ差し向け、hESCのNPCへの分化を促進する。

APPやその切断産物が、分裂期を過ぎたの神経細胞の増殖や分化を促進することはない。むしろ、分裂期を過ぎた神経細胞での野生型または変異型APPの過剰発現は、細胞周期の再進行後にアポトーシスによる細胞死を誘導する。男女ともに更年期における性ホルモン(プロゲステロンを含む)の喪失と黄体形成ホルモン(成人でhCGに相当する)の上昇は、アミロイドβの産生を駆動し、分裂期を過ぎた神経細胞の細胞周期を再進行させると考えられている。

相互作用

アミロイド前駆体タンパク質は次に挙げる因子と相互作用することが示されている

APPは、アルツハイマー病を含む多数の脳疾患に関係しているタンパク質であるリーリンとも相互作用する。

関連文献

外部リンク


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