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アントラサイクリン
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アントラサイクリン(anthracycline)類あるいはアントラサイクリン系抗生物質(anthracycline antibiotics)は、ストレプトマイセス属微生物Streptomyces peucetius var. caesiusに由来するがん化学療法に用いられる薬剤の一群である。アンスラサイクリンと称されることもある。
これらの化合物は、白血病、リンパ腫、乳がん、子宮がん、卵巣がん、肺がんを含む多くのがんの治療に用いられている。
アントラサイクリン類は、これまで開発された中でも非常に効果的な抗がん治療であり、その他の抗がん剤よりも多くの種類のがんに対して有効である。主な副作用は心毒性であり、このため有用性がかなり制限されている。その他の副作用には嘔吐などがある。
初めて発見されたアントラサイクリンは、放線菌Streptomyces peucetiusによって天然で生産されているダウノルビシンである。ドキソルビシンは程なく開発され、その他多くの関連化合物が続いたが、臨床で使用されているものはほとんどない。
例
- ダウノルビシン(ダウノマイシン)
- ダウノルビシン(リポソーム製剤)
- ドキソルビシン(アドリアマイシン)
- ドキソルビシン(リポソーム製剤)
- エピルビシン
- アムルビシン
- イダルビシン
- バルルビシン(膀胱がん治療にのみ使用される)
- アクラルビシン
- ピラルビシン
- ミトキサントロン(アントラサイクリンアナログ)
作用機序
アントラサイクリンには3つの作用機序がある。
- DNA/RNA鎖の塩基対間にインターカレーションすることによってDNAおよびRNA合成を阻害する。ゆえに増殖の速いがん細胞の複製を妨げる。
- II型トポイソメラーゼを阻害し、DNAスーパーコイルの弛緩を妨げる。これによってDNA転写およびDNA複製を妨げる。ある研究では、II型トポイソメラーゼ阻害剤は、トポIIと核酸基質の解離に必要なトポIIのターンオーバーを妨害するとされる。
- DNAおよび細胞膜に損傷を与える鉄媒介酸素ラジカルを発生させる。