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シンモラ
シンモラ (Sinmore) またはシンマラ(Sinmara) は、北欧神話に登場する、炎の巨人スルトの伴侶の女性である。 詩『フョルスヴィーズルの言葉』だけがシンモラの存在の証拠になっている。その中で彼女は3回言及され、伝説的な武器レーヴァテインの保管者として説明される。 彼女の名の語源についての学術的な仮説が提唱されている。
語源
名前「Sinmara」の語源はよく知られていない。 後半部の要素「mara」は、「(night)mare」と同一の可能性が示唆されているが、前半部の「Sin-」の要素は不明である。一説では、sindr(古ノルド語で「燃え殻」の意)と関連していると考えられているが、 ルドルフ・ジメックは、「sin」が「sindr」に関連する可能性はないと述べる一方で、「色に関する意味深長な解釈」を挙げ、このことが炎の巨人の妻に当てはまる点に注目し「より適切な解釈は『青白い(night)mare』である」と推理している。
ヴィクトル・リュードベリは次のような提案をしている。すなわち、「Sinmara」が、「腱」を意味する「sin」と、動詞「marja」(Vigfussonの辞書を援用)に関連があることに注目し、「不具の人」を意味する「mara」とで構成されるというのである。 そしてリュードベリは、名前「Sinmara」がつまり「腱を傷つけることによって不具にする者」を意味すると結論づけた。
『フョルスヴィーズルの言葉』
『フョルスヴィーズルの言葉』(『スヴィプダグルの言葉(en)』の部)の、シンモラに言及される3つのスタンザの1番目において、シンモラはスルトとともに引き合いに出される。第2の引用元では、フョルスヴィーズルは英雄スヴィプダグルに次のような事を話す。すなわち、シンモラは箱の中に武器レーヴァテインを保管し、9つの頑丈な錠を掛けている (なお翻訳元では「Sinmara」は「Sinmora」と英語化されて書かれている)。
フョルスヴィーズルはスヴィプダグルに次のように話した。シンモラがスヴィプダグルに武器レーヴァテインを与えることを承諾する前に、スヴィプダグルはシンモラに「輝く鎌」を持ってこなければならない、そうすれば彼女はスヴィプダグルにレーヴァテインを与えるだろう。
脚注
参考文献(英語版)
- Bellows, Henry Adams (Trans.) (2004). The Poetic Edda: The Mythological Poems. Courier Dover Publications. ISBN 0486437108
- Gutenbrunner, Siegfried (1940). "Eddica" as found in Zeitschrift für deutsches Altertum und Literatur 77.
- Rydberg, Viktor (2004) translated by Anderson, Rasmus B. Teutonic Mythology. Kessinger Publishing. ISBN 0766188914
- Simek, Rudolf (2007) translated by Hall, Angela. Dictionary of Northern Mythology. D.S. Brewer. ISBN 0859915131
- Vigfusson, Gudbrand (1874). An Icelandic-English Dictionary Based on the MS. Collections of the Late Richard Cleasby. Oxford Clarendon Press.