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スピルリナ
スピルリナ | |||||||||||||||
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Spirulina sp.
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分類 | |||||||||||||||
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和名 | |||||||||||||||
スピルリナ | |||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||
Spirulina |
スピルリナ(Spirulina)は、汽水域に生息する藍藻綱ユレモ目アルトロスピラ属の藻類の培養種である。光合成能を持つが窒素固定能がない。スピルリナという名前は、ラテン語のspirula ”小さなコイル”に由来する。従来スピルリナ属Spirulinaとされていた種のうち、産業用に培養されている種はアルトロスピラ属 Arthrospiraに組み換えられた。スピルリナという商品名が付いているものはアルトロスピラ属 Arthrospiraである。トリコームは規則正しくらせん状にねじれていて横幅より縦の長さが長い、細胞間の隔壁がはっきりしている、表面に粘膜層を持たない特徴がある。また、製品評価技術基盤機構バイオテクノロジーセンターのゲノム全解析では、配列全体の約1割(618kb)ほどを、グループII イントロン、IS配列、ファージ様の領域、その他の繰り返し配列で占めていることが解明され、さらに数多くの偽遺伝子が見つかったことから、ゲノム構造の変化を頻繁に起こすことで、過酷な環境に適応していること、また外来DNAを分解する働きを持つ制限修飾系の遺伝子が多く見つかり、他の植物の遺伝子編入を困難にしていることが判明した。
生息環境
幅 5-8μm、長さ 300-500μm ほどのらせん形であり、富栄養で無機塩濃度の高いアルカリ性の沼に発生し、酸素発生型光合成を行い増殖するが窒素固定能は持たない。そのため種としての固定栄養素はなくその成分は生育条件で非常に大きく変わる。過栄養水塊でアオコの主要な要素となることがある。
食用及び人への害
窒素固定能を持たないため主食糧とはならないが栄養補助食材としての応用研究は70年代に中国で幼児のビタミンA補給補助を目的として盛んに行われた。結局フィコシアニンが動物体内で代謝されビタミンAとなることは否定された。米国FDA及び国立医薬品食品衛生試験所は、「ヒトへの安全性について十分なデータが見当たらない」としている。下痢や鼓腸、胃のむかつき、浮腫、神経細胞への炎症が起こることがある。妊娠中・授乳中の安全性については十分な情報がないため摂取は避けたほうがよい。スピルリナ類は細菌や有害重金属 (鉛、水銀、カドミウム、ヒ素)、および放射性の2価または3価のイオンを他の藻類より多く含むことがある。また他の藍藻類と同様にマイクロシスチンを含み強烈な肝毒性があり過剰摂取は危険である。 スピルリナ含有製品の健康被害として光過敏症や細胞壁炎症を起こす報告が存在する。スピルリナを含むサプリメントに対して重篤なアレルギー症状、神経性障害例がフランス食品環境労働衛生安全庁から報告され厚生労働省が注意文書として警告を出している。
河川水など栽培環境の問題
また大規模栽培では栽培に用いている水質中の金属塩なども大きく影響する。生産に用いる大量の河川水をイオン交換樹脂などで塩類や重金属除去を行うことは難しい。水俣の水銀中毒も食物連鎖による重金属の生物濃縮が原因であったことから長期での観察が必要と思われる。特に鉱山や鉱床下流の河川水を用いている場合では例えば金、銀、銅や亜鉛鉱山では鉛、セレンなどがともに産出されるので下流域水系を栽培に用いるには注意が必要である。中国での鉛、水銀、亜ヒ酸濃度の原因も用いている河川水に由来するものと見られている。下記の業者の分析表で亜鉛だけが表示されているのは極めて不自然といえる。
中国政府による大規模衛生検査
また中国政府は大規模な国内産スピルリナ製品の衛生検査を行い一部の製品に鉛、水銀、セレン、ヒ素などが安全基準値の百倍含まれるものもあったと発表した。鉛については5.9mg/kg(安全基準は幼児で0.05mg/kg以下)。以螺旋藻為原料保健食品重金屬監督檢查結果公佈 [1]。
偽ビタミンB12問題
神経性障害例がフランス食品環境労働衛生安全庁から報告され厚生労働省が注意文書として警告を出している。手足抹消の針をさすようなしびれや赤血球数減少などビタミンB12欠乏症が報告されたことから従来豊富なビタミンB12を含む健康サプリメントとして販売されていたスピルリナをm-HPLC方で精密分析した結果、実際は疑似ビタミンB12であり体内で生産される葉酸を無駄に消費し、結果としてビタミンB12欠乏症の症状を起こす。症例として神経叢の生成、神経細胞の新陳代謝の障害、神経炎症による運動機能低下、交感神経系発育不全、認知症、赤血球造血能力の低下、米国NIH医師による肺細胞の発育障害あるいは乳がんの報告など懸念される。[2]
神経性障害は国内でも臨床例が報告されており、日本臨床神経学会誌により「スピルリナ(サプリメント含有成分)の摂取後に発症した広範な皮膚症状をともなった神経炎症性筋疾患」など複数例が報告されている。
葉酸値
クロロフィルと異なりTCAサイクルが異なるため葉酸は生成されない。そのため成分には含まれない。表示がある場合それは間違いである。USDAは栄養成分表表示についてスピルリナも他の健康食品同様、過去(レガシー)データーとして2018年以降の新規のデーター収集は行わず過去値の訂正のみ行うとしている。[3]
リコピン、ビタミンD、レチノール値
表皮生成に重要なリコピンなども存在しない。ビタミンD(骨格と歯及び表皮の発育促進など)、レチノール(真皮、表皮の新陳代謝促進)なども存在しない。USDAは栄養成分表表示についてスピルリナも他の健康食品同様、過去(レガシー)データーとして2018年以降は新規のデーター収集は行わず過去値の訂正のみ行うとしている。[1]
生産
現在は中国、モンゴル、インドなど世界各地で生産されていて中国が世界の総生産量の 60 ~ 70% を占めている。日光暴露だけでも生育するがクロロフィル植物と比べエネルギー密度の低い青色光で光合成を行うため収穫量は極めて少ない。そのため大量の収穫には飼料にバイオマスを用いる。インドでは牛糞、インドネシアなどでは魚の生あらなども用いられているが 多くは都市から出るバイオマスを用いて生産されている。そのため飼料、季節により製品の成分が大きく変化するという性質を持つ。メキシコ・シティのスピルリナは都市下水由来のバイオマスである。もともと沼地に建設されたメキシコ・シティでは下水設備の不備により溢れ出た溜池で大量に発生したものである。日本ではメキシコから商社経由で飼料用スピルリナ粉を入手し錠剤化して健康食品として販売していたDIC社が広告宣伝会社から宣伝業務引受と引き換えにタイのバンコク郊外の野外プールでの栽培と健康食品販売会社を紹介され、海南島に大規模培養池を持つ中国栽培業者に資本参加し大規模生産を開始した。中国政府による国内スピルリナ製品の一斉安全検査で複数の市販品から高濃度の鉛毒、水銀、ヒ素などが報告され、その影響で生産を一時停止、その後生産量全量を米国子会社のEarthrise社に輸出する(現在は日本商社にも輸出)ということで生産を再開した。米国カリフォルニア州の砂漠地帯カルバトリアにある郡刑務所から出るバイオマスを当て込んで隣接地で栽培を行っていた新事業ベンチャーのEarthrise社に資本参加し、後に全株式を取得して ここでも生産をしている。同社のホームページによるとコロラド川支流を水源として全敷地のうち33エイカー(東京ドーム3個分)の循環式培養池を稼働させている。現在の収穫量はカリフォルニア産年約50トン、また中国貿易統計によると海南島から輸出した中国産約500トンとあわせてホームページに生産量600トンと記載している。どちらの生産池も屋外での強制循環池による粗放培養法で、培養液をスクリーンフイルターを用いて、スラッジとして脱水濃縮後、穴から押出すなどして成形し乾燥機にかけ、機械で砕いて粉末にする。粉末状で瓶詰め、また打錠機により錠剤として販売する。また粉末を温水で再溶解し凍結乾燥処理した粗製青色色素粉末を販売している。
国内生産では旭ガラスの関連会社である静岡県掛川のビューテックがある。自動車や新幹線の先頭車曲線フロントガラス製造やタンクローリー運輸請負が主力の事業であるが「我が国屈指の日照時間と天竜川水系」を特徴として同市内西大渕の掛川営業所に併設したガラス温室と簡易ビニールハウス内に循環型栽培プールを有し小規模な生産を行っている。タベルモ社独自開発の急速冷凍技術を用いた生食健康食品”タベルモ”が商品名である。
応用
スピルリナは、種としての特定の窒素成分構成を持たないが、富栄養水域で強い日光があればさかんに光合成を行いタンパク質を生成・蓄積する。太陽光エネルギーの大部分である緑色光を使うクロロフィルに比べ より波長の短い青色光を代謝に使うフィコシアニンでは太陽光エネルギーが低いため収穫量は半分程度に抑えられる。上記の例では10アールの面積からの年間生産量は約350kg程度でありこの数字は日本の米作の平均値530kgと比べるとかなり低い。これはクロロフイル系とフィコシアニン系の光合成能力の差と考えられる。なにを肥料にするか また培養条件によりその栄養組成は大きく異なる性質があり、おおむね乾燥重量のほぼ半分が窒素成分である。このうちほぼ半分が通常の緑色栽培植物と同じ可食性窒素で 残りの半分がフィコシアニンを多く含む非可食性窒素である。最近の報告ではアミノ酸組成が都度の栽培条件により大きなばらつきを持ち同一業者の製品でも生産ロットにより成分が大きく異るため製品基準のコントロールの必要が訴えられている。米国農商務省の栄養成分表は市場発表データーの集積であったため健康食品の場合、業者のチャンピオンデーターの集積にしかならず健康被害も報告されるなど誤解を防ぐためこれをレガシーデーターとして2008年以降の更新は行わず逐次過去表示値の訂正のみを行う方式に変更した。これに伴い各業者の成分表示は総蛋白量表示に変更されている。
乾燥粉末を再溶解し凍結乾燥して得た粉はフィコシアニンを多く含み炭酸水などpH2~5程度の強酸性でも安定した青白色を保持するという性質があるため、クチナシや紅花の代用として冷菓・乳製品・粉末ジュース・飲料・グミなど酸性食品の青色着色剤として利用される。またリコピンを多く含む{要出典}とし肌に良いとする美容食材がある。 青色色素抽出後の粕を魚用飼料に混ぜて金魚のえさに使われている例もある。クロレラと比較して消化吸収性が良いと主張する事業者が、スーパーフードという触れ込みで販売を行っている。
またインド国立アカデミーの発表では広範囲のグラム陽性菌とグラム陰性菌の両方に対する S. platensis の抗バイオフィルムの可能性が指摘された、ただしスピルリナ特有の性質ではなく藻類は一般にその性質を持ち褐藻類(ひじき)が最も顕著であると報告している。米国シアトルのルーメンバイオサイエンス社はスピルリナ幹からRNA鎖を取り出しモノクローナル抗体カクテルを製造し野戦軍隊用の下痢予防薬を製造することができると発表している。 また過去にコロナウイルスワクチン製剤の基材となるRNA鎖を大量供給できるとしておりキョーリン製薬が自社の株主向け資料で共同研究提携を結んだと発表している.
また日本では谷岡らによりむしろ健康被害を及ぼすスピルリナの疑似ビタミンB12を化学的に改変しビタミンB12合成の原料に使用できないかという研究が行われた。食用ラン藻スピルリナのシュードビタミンB12の栄養欠点の克服
100 gあたりの栄養価 | |
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エネルギー | 1,213 kJ (290 kcal) |
23.9 g
|
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糖類 | 3.1 g |
食物繊維 | 3.6 g |
7.72 g
|
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飽和脂肪酸 | 2.65 g |
一価不飽和 | 0.675 g |
多価不飽和 | 2.08 g |
57.47 g
|
|
トリプトファン | 0.929 g |
トレオニン | 2.97 g |
イソロイシン | 3.209 g |
ロイシン | 4.947 g |
リシン | 3.025 g |
メチオニン | 1.149 g |
シスチン | 0.662 g |
フェニルアラニン | 2.777 g |
チロシン | 2.584 g |
バリン | 3.512 g |
アルギニン | 4.147 g |
ヒスチジン | 1.085 g |
アラニン | 4.515 g |
アスパラギン酸 | 5.793 g |
グルタミン酸 | 8.386 g |
グリシン | 3.099 g |
プロリン | 2.382 g |
セリン | 2.998 g |
ビタミン | |
ビタミンA相当量 |
(0%) 0 µg0 µg
|
チアミン (B1) |
(207%) 2.38 mg |
ナイアシン (B3) |
(85%) 12.82 mg |
パントテン酸 (B5) |
(70%) 3.48 mg |
葉酸 (B9) |
(0%) 0 µg |
ビタミンB12 |
(0%) 0 µg |
コリン |
(13%) 66 mg |
ビタミンC |
(12%) 10.1 mg |
ビタミンD |
(0%) 0 IU |
ビタミンE |
(33%) 5 mg |
ビタミンK |
(24%) 25.5 µg |
ミネラル | |
ナトリウム |
(70%) 1048 mg |
カリウム |
(29%) 1363 mg |
カルシウム |
(12%) 120 mg |
マグネシウム |
(55%) 195 mg |
リン |
(17%) 118 mg |
鉄分 |
(196%) 25.5 mg |
亜鉛 |
(126%) 12 mg |
銅 |
(305%) 6.1 mg |
マンガン |
(90%) 1.9 mg |
セレン |
(10%) 7.2 µg |
他の成分 | |
水分 | 4.68 g |
| |
%はアメリカ合衆国における 成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。 |
項目 | 分量(g) |
---|---|
脂肪 | 7.72 |
飽和脂肪酸 | 2.65 |
14:0(ミリスチン酸) | 0.075 |
16:0(パルミチン酸) | 2.496 |
18:0(ステアリン酸) | 0.077 |
一価不飽和脂肪酸 | 0.675 |
16:1(パルミトレイン酸) | 0.328 |
18:1(オレイン酸) | 0.347 |
多価不飽和脂肪酸 | 2.08 |
18:2(リノール酸) | 1.254 |
18:3(α-リノレン酸) | 0.823 |
脚注
外部リンク
- “スピルリナ青色素”. 食品衛生情報. 横浜市衛生研究所 (2005年11月10日). 2006年6月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年7月9日閲覧。
- 石見佳子、江崎潤子. “スピルリナの安全性と機能性”. 食品成分有効性評価及び健康影響評価プロジェクト解説集. 国立健康・栄養研究所. 2017年2月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年12月31日閲覧。
- “フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)、スピルリナを含むサプリメントへアレルギーを示した患者に関する報告書を発表”. 食品安全関係情報データベース. 食品安全委員会 (2014年12月4日). 2019年8月22日閲覧。
- スピルリナ(サプリメント含有成分)の摂取後に発症した広範な皮膚症状をともなった炎症性筋疾患 (PDF) 日本臨床神経学雑誌(2011).2011年閲覧。
- スピルリナとは. DICライフテック株式会社