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ヒトヨタケ
ヒトヨタケ | ||||||||||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Coprinopsis atramentaria (Bull.) Redhead, Vilgalys & Moncalvo (2001) | ||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||
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和名 | ||||||||||||||||||||||||
ヒトヨタケ |
ヒトヨタケ(一夜茸、学名:Coprinopsis atramentaria)は、ハラタケ目ナヨタケ科ヒメヒトヨタケ属に属するキノコ。従来はヒトヨタケ科に属するとされてCoprinus atramentarius (Bull.:Fr.) Fr.という学名が与えられていたが、分子系統解析によるヒトヨタケ科の再編に伴いナヨタケ科に移行され、種小名も変更された。
解説
春から秋に広葉樹の枯れ木や埋もれ木に発生する腐生菌である。傘は灰色で細かい鱗片があり、初め卵型だがだんだん縁が反転していく。ひだは初め白色で、胞子が成熟するにつれ、胞子自体の着色のため、黒色に変わっていく。肉は白色、無味でややキノコ臭がある。柄は白色で中空、不明瞭なつばの跡がある。
成熟した子実体の傘は周縁より中心部に向かって自己消化により次第に液化し、ついには柄のみ残し、一夜で溶けて黒色の胞子(担子胞子)を含んだ黒インクのような液と化してしまう。これがヒトヨタケの名の由来である。胞子の一部は空気中に飛散するが、大部分はこの液とともに流出する。英語ではこのキノコを"インク・キャップス"(インクの傘)と呼ぶ。
ヒトヨタケやササクレヒトヨタケ、ネナガノヒトヨタケ(無毒)などいくつかの近縁種は腐った古畳やわらなど、腐敗した植物質によく発生する。漫画家松本零士が押入れにしまっていたパンツ(猿股)に生えたキノコを、「さるまたけ」と称して自らの漫画作品の題材にしたり、漫画家仲間のちばてつやに食べさせたというエピソードがあるが、状況から考えてこの仲間のいずれかである可能性が非常に高い。(松本本人も、「図鑑で調べたらヒトヨタケ」と言っている。)
食・毒性と成分
液化する前の幼菌は食用になり美味であるとされるが、酒類を飲む前後に食べると中毒症状を呈する。含有成分コプリンの代謝生成物1-アミノシクロプロパノールはジスルフィラム様作用を持ち、体内のアルデヒド脱水素酵素を阻害する。エタノールは代謝過程においてアセトアルデヒドを経由して酢酸へと代謝されるが、この酢酸への変換にかかわるのがアルデヒド脱水素酵素である。この結果、アセトアルデヒドが血中に蓄積するために、著しい悪酔い症状様の中毒症状を起こすこととなる。コプリンの作用が体内から消えるまで、食後一週間程度は飲酒を控えたほうが良い。コプリンと同様のエタノール代謝阻害作用による中毒を起こす美味なキノコとしては、他にホテイシメジ(成分はオクタデセン酸などの共役エノン、ジエノン類)、キララタケが知られている。中毒症状は通常は4時間以内に、自然に回復する。食用されるササクレヒトヨタケにはコプリンは含まれない。
さっとゆでて、ねぎぬたや三杯酢、山椒や柚の香りの吸い物などに適する。特に脂質との相性がよいので大量に収穫した場合は肉とのバター炒めにしてもよい。
脚注
参考文献
- 池田良幸『北陸のきのこ図鑑』ISBN 4893790927
- Kienzler, Thomas、Strazewski, Peter、Tamm, Christoph 、1992年「A New Synthesis of Coprine and 0-Ethylcoprine」『Helvetica Chimica Acta』75号1078ページ、2010年11月27日参照
関連項目
外部リンク
- 酒を飲む前後に食べると中毒を引き起こすきのこ(コプリン群) 財団法人 日本中毒情報センター
- 毒きのこデータベース 2016年3月までは滋賀大学教育学部サイト内で公開されていたコンテンツの移転先