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去勢

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トルコの去勢(1466年)

去勢(きょせい、英語:castration)とは、人間、または動物生殖に必要な部位を切除し、種として生殖不能な状態とすることをいう。

概説

手術による去勢は「去勢術」と呼ばれ、男性(動物なら雄)においては睾丸の摘出(場合によっては陰茎の切断を伴う)、女性(動物なら雌)においては卵巣の摘出(場合によっては子宮と一緒に摘出)をいう。男性(動物なら雄)に限定していう時は「除精(術)」または「除睾(術)」ともいう。

幼去勢
第二性徴以前の個体の去勢
熟去勢
成熟した個体の去勢
半去勢
片方の睾丸のみの摘出
全去勢
陰茎・両睾丸・陰嚢を含めた男子外性器すべての切除。「全除精術」ともいう。

去勢された者は閹人(えんじん)と呼ばれる場合がある(「閹」は「閉」と同義で精液の出口が閉じてる意)

動物

現在は家畜ペット競走馬などに施されることが多く、雌が不用意に子を産み増やすのを防止したり、特に雄の攻撃的な性質などを喪失させる目的で行われたりすることが多い。また、食肉用家畜の雄は去勢することによって肉質がよくなる。雄に対しての去勢は俗に玉抜きと呼ぶ場合もある。去勢すると生殖機能が失われるため、子孫を残すことは出来なくなる。競走馬においては去勢された馬は騸馬と呼ばれる。牡馬(雄の馬)に対して行われるのが一般的で、牝馬(雌の馬)を去勢することは滅多に無い。気性の悪さが原因で良い成績を出せない馬に行われることが多いが、去勢されることによって気性が良化し、良い成績を出す馬もいる。

  • 騸馬 - 去勢された馬で競馬や軍馬で用いられる。
  • ウシの去勢去勢牛(Bullock、Ox)
  • 豚では、肉に豚の雄臭が出て食べられなくなるため、去勢するか成熟する前に屠畜を行う。動物愛護の面で、麻酔や免疫学的去勢を行う国もある。去勢した豚は英語でBarrowという。
  • ベルウェザー - 鈴が首につけられた去勢された牡羊である。去勢された牡羊(ウェザー、wether)は羊飼いに従順になり、羊飼いの訓練を経て、羊の群れを率いるリーダーとしての役割を与えられる。
  • 去勢鶏(Capon)
  • トラップ・ニューター・リターン - 野良猫の生息数調整のための活動で、捕獲・絶育(避妊・去勢)・解放の英語。
歴史
古代シュメールの粘土板に牛の去勢の記録がある。そのほかに、旧約聖書のレビ記、アリストテレスの『動物誌』などにも去勢の記述が見られる。
甲骨文字に豚の去勢を示す字がある。また、兵馬俑にある馬の像が騸馬(去勢馬)であるという指摘もある。

寄生去勢

寄生去勢とは、寄生生物によって、生殖機能を破壊されることである。甲殻類に寄生するフクロムシ類、ヤドリムシ亜目、貝などの軟体生物にはBucephalus mytiliが寄生去勢を行う。

ヒト

ヒトにおいては古代や中世には刑罰として行われることも少なくなかったが、その後廃止された。また、古代中国などでの宦官や近代以前のヨーロッパでのカストラートなど目的や必要条件に応じて、意図的に多くのヒトに対して行われたケースもあった。また、男に対する通過儀礼として睾丸の片方を切除する部族もあり、半去勢と呼ばれる。

なお、いわゆるニューハーフ性同一性障害をもつ人の中には自ら去勢や性別適合手術を希望する人が存在するが、全てのニューハーフや性同一性障害をもつ人が行うわけではない。

化学的去勢

化学的去勢は、アンドロゲン除去療法とも呼ばれ、抗アンドロゲン剤を利用した、性的欲求及び性機能を思春期前の水準まで低下させる治療をいう。

2015年現在で化学的去勢を実施している国と地域は米国の8つの州およびカナダドイツオランダポーランドスイスデンマークスウェーデンフィンランドノルウェーモルドバ韓国である。

化学的去勢に用いられる薬物は、欧州では主として酢酸シプロテロン(CPA)、アメリカでは主としてメドロキシプロゲステロン酢酸エステル(MPA)であるが、近年では、リュープロレリン、ゴセレリン、トリプトレリンのような、CPAやMPAと比べて高価であるが効力が高いとされるGnRHアゴニストの使用が増加している。

化学的去勢は性犯罪者に対する刑事罰というよりも異常な性的衝動を持つ性的倒錯者に対する治療という建前となっており、身体刑(残虐な刑罰)とは扱われない。

身体症状

不妊となる。

思春期前に行われると、喉頭が大きくならず変声(声変わり)しない。男性化などの男性的な二次性徴が起きない。宦官様巨人症、意欲の低下(攻撃性の減少)、筋肉量低下、肥満傾向、女性化などが起きる。

異常性癖としての去勢 

一部のマゾヒストの男性は、男性器や睾丸などを切除、若しくは破壊される事に性的興奮を覚える事がある。

近年では上記の様な男性に向け、映像作品や音声作品、イラスト、漫画、小説などが販売されている。

治療

ヒポクラテスの説として「去勢した人は、痛風にもならないし禿げない」とされたことから、痛風の治療として17世紀まで去勢が治療として行われた。

前立腺癌のがん細胞は、男性ホルモンのテストステロンによって増殖するため、去勢術を行うことが治療とされる。

文化

脚注

関連項目



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