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報酬系
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報酬系(ほうしゅうけい、英: reward system)とは、インセンティブ顕現性(たとえば報酬に対してのモチベーション、欲望、渇愛)、連合学習(おもに正の強化と古典的条件づけ)、ポジティブ感情、とりわけ喜びの中核(幸福感、エクスタシー)を司る神経回路のグループである。報酬(Reward)とは、魅力的でモチベーショナルな行動(アプローチ行動)を誘発する刺激であり、欲求行動、完遂行動を誘発するものである。これらの文脈において報酬刺激(単に報酬とよばれる)とは、「それに対して私たちがアプローチし消費させるポテンシャルを秘めるもの(刺激、目的、出来事、活動、状況など)が報酬である」と神経科学分野では記される。 オペラント条件付けにおいては、報酬刺激とは正の強化子であり、また一方でその逆も真であり、正の強化子は報酬である。
脳の様々な領域が報酬系に関与しているが、その中心的役割を担っているのは中脳の腹側被蓋野、線条体の側坐核である。しかし中脳の腹側被蓋野の神経細胞は、様々な脳領野から軸索入力を受けており、その回路の実態は非常に複雑である。
ほとんどの動物種の生存は、有益な刺激との接触を最大にし、かつ有害な刺激との接触を最小にすることに起因する。これら報酬を認知することで、その動物は連合的学習を作り、アプローチと正常な行動が誘発され、肯定的感情が促進されるため、生存および生殖の可能性を高める役割を果たしている。報酬とは、動物の適応能力向上を目的として進化したメカニズムである。
定義
報酬とは、誘因行動(引き寄せられる、それに近づきたいと思う)を引きおこす刺激の総称である。例えば、お腹がすいている人にとって、おいしい食べ物は報酬である。しかしながら、お腹がいっぱいな人にとって食べ物は報酬ではない。むしろ、不快感を与える。また、ある種の美人や美女の魅惑的な顔は報酬となるが、人それぞれ好みがバラバラである。つまり報酬であるか否かは、脳の状態に依存して、主観的な快体験を起こすかどうかということで決まる。客観的にそれが報酬であるかどうかを測定するには、誘因行動を引き起こすかどうかを測定するのが一般的な方法である。動物の場合はその物質に引き寄せられるような行動をとっているかどうかを測定する。
報酬の主な機能は3つである。
- 連合学習(すなわち古典的条件付けとオペラント強化)を生み出す。
- 意思決定に影響を及ぼし、アプローチ行動を誘発する(報酬刺激に動機付けに関する際立ちを割り当てることによって)。
- 肯定的感情、特に喜びを誘発する。
報酬系を担う脳の回路
報酬系は脳全体に分布しているが、その中で重要な役割を担っているのが、中脳の腹側被蓋野のドーパミン神経(TH陽性神経細胞またはDAT陽性神経細胞)である。
脚注
関連項目
外部リンク
- Reward (英語) - スカラーペディア百科事典「報酬」の項目。
- Reward signals (英語) - 同「報酬信号」の項目。