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超過死亡率
超過死亡率(英:excess mortality rate)とは、特定の母集団の死亡率(死亡者の数)が一時的に増加し、本来想定される死亡率(期待値)の取りうる値(信頼区間)を超過した割合のことである。「死亡率の変動」(英:Mortality displacement)とも言う。
これは通常、熱波、寒波、伝染病、パンデミック(特にインフルエンザのパンデミック)、飢饉、戦争などによって引き起こされる。
概要
例えば、ある地域を災害が襲ったとする。災害が起こっている期間には、死因はともかくとして多くの場合にその地域の死亡者の数が増加し、特に高齢者や病人が多く死亡する。超過死亡率を見ることで、災害を原因とする(災害さえなければ死ななかっただろう)死亡者の数を見積もることができる。
一方で、超過死亡率が増加した期間を乗り越えた後の数週間には、全体的な死亡率の減少も見られる。このような死亡率の短期的な前方シフトは「弱者刈り取り効果」(harvesting effect) と呼ばれる。なお、この訳語は東北大学加齢医学研究所の研究者らが提唱しているもので、東日本大震災で高齢者などの弱者が特に多く犠牲になったことを踏まえている。まるで超過死亡を補正するかのように死亡率が減少するのは、災害が特に影響を与えたのが、既に健康状態が悪化しているために「いずれにせよ近いうちに死ぬはずだった」人々であったことを示唆している。
インフルエンザの超過死亡の推定
インフルエンザの超過死亡について、Serflingらの統計モデルによる推計が知られている。流行がないと想定した当該期間の死亡率を統計モデルから導出して、それとの差を超過死亡とするものであり、インフルエンザによる死亡率の変動が明らかに周期的であることを用いている。
日本
日本では、超過死亡を元にしてインフルエンザの流行規模の指標を算出するため、国立感染症研究所・感染症情報センターが1998/99シーズンより「感染研モデル」を公表している。もしインフルエンザが流行しなかった場合に想定される死亡者の数をベースライン(期待値)として、「予測死亡数の閾値(95%信頼区間の上限値)」と「実際に報告された死亡数」の差が「超過死亡」として算出され、インフルエンザを原因とする(ワクチンの有効率が100%の場合、予防接種さえしていれば死ななかっただろう)死亡者の数を見積もることができる。なお「感染研モデル」においてはインフルエンザの流行の把握のみを目的としているため、「過去数年の死亡者から想定される今年の死亡者の数」ではなく「インフルエンザが流行しなかった場合に想定される今年の死亡者の数」をベースラインとしている点には注意。
日本に関する推計値
日本の感染症に関して算出例がある。 逢見・丸井によると1956−1957では5万人を超えたと推計され、その後も1960年台までは3万人を超えるシーズンが多かったが、1970年台後半からは2万人を超えなくなった。しかし1994-1995には4万人を超え、その後も2006年までで、数年に一度は2万人を超えている。 感染研モデルによる別の推計では1994-1995は3万人弱とされ、1998−1999の4万人弱をピークに、その後は2万人を超えることはなく、2006年以降は数千人とされている。
欧州
欧州では、季節性インフルエンザ、パンデミック、その他の公衆衛生上の脅威に関連する超過死亡の検出と測定を目的として、ヨーロッパの24か国の死亡率データがEuroMOMO(欧州死亡率モニター)プラットフォームに統合されている。EuroMOMOは、デンマークのコペンハーゲンに設置された感染症疫学予防部 (the Department of Infectious Disease Epidemiology and Prevention) が主催および管理している。
コペンハーゲンにあるスタテンセラム協会の調査センターでは、週刊の状況レポートと定期的な科学記事を発行しており、米国に対しても超過死亡率が高い期間について論説を行っている。
米国
比較的多い時期として、1996年から1998年の各シーズンにそれぞれ5万人程度とするCDCの推計があり、また2017年から2018年にかけてのシーズンで6万人程度とする推計がある。
COVID-19の超過死亡の推定
2020-2021年の2年間の世界各国の超過死亡率を研究した結果で、全世界のCOVID-19による死亡数(発表ベース)が5,940,000人に対し、超過死亡者数が18,200,000人で約3倍であった。また、日本のCOVID-19による死亡数(発表ベース)が18,400人に対し、超過死亡者数が111,000人で約6倍であった。
参照
関連項目
外部リンク
- EuroMOMO - 欧州での超過死亡を観測しているEuroMOMOのホームページ
- 高橋美保子, 丹後俊郎「過去23年間の死亡統計を用いてのインフルエンザによる超過死亡の新しい推定方法と従来の方法との比較研究」『日本公衆衛生雑誌』第48巻第10号、日本公衆衛生学会、2001年10月、816-826頁、ISSN 05461766、NAID 10008645434。
- 高橋美保子「インフルエンザ流行による超過死亡の範囲の推定 年間死亡率と季節指数を用いた最小超過死亡の推定モデルの応用」『日本公衆衛生雑誌』第53巻第8号、日本公衆衛生学会、2006年、554-562頁、doi:10.11236/jph.53.8_554。