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鼻音化
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鼻音化(びおんか)とは、鼻音以外の音を調音しているときに、口蓋帆が下がって呼気が同時に鼻腔へも抜けることをいう。
概要
国際音声記号では、補助記号[ ̃ ](チルダ)が鼻音化の記号として当てられており、[ẽ]や[z̃]のように記述する。
鼻音化がおこる代表例は母音であり、母音を鼻音化したものを特に鼻母音(びぼいん)と呼ぶ。鼻音とは違い、口腔内で閉鎖が作られない。日本語では、母音、半母音、摩擦音またははじき音の前、あるいは語尾の撥音/ん/が鼻母音または鼻音化した接近音として現れることがある。
- (例)けんいち [kẽɰ̃ː.ĩ.t͡ɕi]
その他、摩擦音や接近音に鼻音化が見られる例がある。
鼻音は口腔内で閉鎖が作られているので破裂鼻音とも呼ばれる。それぞれ独立した音声記号が用意されているが、破裂口音の側から見れば、鼻音は鼻音化された破裂口音ということができる。
子音(特に破裂音)の前に短い鼻音がついて1音素となることを、前鼻音化という。これはバントゥー諸語やオーストロネシア語族の一部などに見られる。日本語でも古くはダ行・バ行の有声破裂音が前鼻音化したとされ(ガ行は古くから鼻音だったといわれる)、これは東北方言などに残っている。
鼻音化ではない鼻母音
鼻母音は、フランス語、ポーランド語、ポルトガル語などでは音素となっている。つまり、話者の認識において、鼻音ではない母音と区別されているため、この場合は鼻音"化"とは言わない。(参照:Peter Ladefoged and Sandra F. Disner (2012) Vowels and Consonants, Wily-Blackwell, 『母音と子音:音声学の世界に踏み出そう』田村幸誠・貞光宮城訳、開拓社、2021年. ISBN 978-4-7589-2286-9)