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インスリン グラルギン
IUPAC命名法による物質名 | |
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臨床データ | |
Drugs.com | monograph |
MedlinePlus | a600027 |
ライセンス | EMA:リンク、US Daily Med:リンク |
胎児危険度分類 |
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法的規制 | |
投与方法 | Subcutaneous |
薬物動態データ | |
作用発現 | ~1 hours |
作用持続時間 | 24 to 36 hours |
識別 | |
CAS番号 |
160337-95-1 |
ATCコード | A10AE04 (WHO) |
PubChem | CID: 118984454 |
IUPHAR/BPS | 7572 |
DrugBank | DB00047 |
ChemSpider | none |
UNII | 2ZM8CX04RZ |
KEGG | D03250 |
別名 | HOE901 |
化学的データ | |
化学式 | C267H404N72O78S6 |
分子量 | 6,062.96 g·mol−1 |
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インスリン グラルギン(Insulin glargine)は、長時間作用型インスリンの一つで、1型および2型糖尿病の管理に使用されている。1日1回、皮下注射で使用する。一般に、使用後1時間以内に効果が現れる。
一般的な副作用は、低血糖、注射部位の問題、痒み、体重増加である。また、重大な副作用として、血中カリウムの低下がある。妊娠中は、一般的にグラルギンよりもNPHインスリンが好まれる。注射後、微結晶が約24時間、ゆっくりとインスリンを放出する。このインスリンは、体の組織が血液からグルコースを吸収するようにし、肝臓によるグルコース生産を減少させる。
インスリン グラルギンは、2000年に米国で医療用として承認された。日本では2003年10月に承認された。世界保健機関(WHO)の必須医薬品リストに掲載されている。
効能・効果
インスリン療法が適応となる糖尿病
インスリン グラルギンを含む長時間作用型インスリンは、中性プロタミンハーゲドン(NPH)インスリンより優れているとは言えないがコストが高く、2型糖尿病の治療にはコスト効率が悪いとされている。低血糖に差があるか否かは投与量の問題から不明であり、また、長期的な転帰に関しても差があると判断するには充分なデータはない。一方、欧州の研究ではインスリン デグルデクがグラルギンより優れたコスト効率を持つことが示された。
他のインスリンとの混用
他の持効型インスリンと異なり、グラルギンは他のインスリンや溶液と同じシリンジで希釈または混合してはならない。しかし、この制限には疑問が呈されている。
禁忌
以下の患者には禁忌である。
- 低血糖症状を呈している患者
- 製剤成分や他のグラルギン製剤に対し過敏症の既往歴のある患者
副作用
重大な副作用として、低血糖、ショック、アナフィラキシー、血中カリウムの低下等がある。
その他の一般的な副作用は、注射部位の問題、痒み、体重増加等である。
グラルギンと癌との関連が懸念されていたが、2012年時点では関連はないとする暫定的なエビデンスが得られている。
作用機序
中性の皮下空間ではグラルギンは高次凝集体を形成し、その結果、グラルギンはゆっくりと持続的に溶解し、少なくとも24時間は大きく濃度変化する事なく注射部位から吸収される。
2015年に承認された3倍濃縮製剤では、より平坦な血中濃度曲線が36時間以上持続するとされている。
薬物動態
グラルギンは、完全に溶解した状態で酸性のpH4で製剤化されている。酸性の溶液を皮下注射した後(不快感やチクチクする感覚が生じる事がある)、溶液が中和されて生理的なpH(約7.4)に達するとグラルギンが析出し、グラルギンヘキサマーの高次凝集体が形成される。この高次凝集体は、グラルギンの機能的、生理的活性単位であるグラルギンモノマーへの解離を遅らせる。この緩やかなプロセスにより、少量のグラルギンが継続的に体内へ放出され、殆どピークのない血中動態が得られる。
化学的特徴
インスリン グラルギンでは、ヒトインスリンのA鎖21位のアスパラギンをグリシンに置き換えられ、B鎖のカルボキシ末端が2個のアルギニン残基で延長されている。アルギニン残基によって等電点がpH5.4から6.7にシフトし、酸性pHではより溶解し易く、生理的pHではより溶解し難くなる。この等電点シフトにより濁りのない透明な溶液を皮下注射する事が出来る。グリシン置換により、酸性pHで酸に敏感なアスパラギンの脱アミド化が防がれる。
承認
2000年6月9日、欧州委員会は、サノフィ・アベンティス社(ドイツ)がグラルギンを欧州連合全域で発売することを正式に承認した。この承認は2005年6月9日に延長された。日本では2003年10月に承認された。
2015年にFDAの承認を得て、3倍濃縮製剤が発売された。日本でも2015年7月に3倍濃縮製剤が承認された。
参考資料
外部リンク
- 粟田卓也「8.持効型溶解インスリン製剤の誕生」『インスリン製剤の変遷をたどる』メディカル・ジャーナル社、2013年12月16日。http://www.saitama-med.ac.jp/uinfo/mnaika4/pdf/ditn2012-11.pdf。
- “Insulin glargine”. Drug Information Portal. U.S. National Library of Medicine. 2022年1月19日閲覧。