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ニガヨモギ
ニガヨモギ | |||||||||||||||||||||||||||
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ニガヨモギのスケッチ
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Artemisia absinthium L. | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
ニガヨモギ | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
worm wood |
ニガヨモギ(苦蓬; 学名: Artemisia absinthium)は、キク科ヨモギ属の多年草あるいは亜潅木である。生薬名は苦艾(くがい)といい、英語圏ではwormwood(ワームウッド)とも呼ばれる。
リンネの『植物の種』(1753年) で記載された植物の一つである。
概要
高さは40-100センチメートルほどで、全体を細かな白毛が覆っていて、独特の臭いがある。葉は15センチメートルほどの羽状複葉で互生する。葉の表面は緑白色、裏面は白色。花期は7-9月で、多数の黄色い小さな花を円錐状につける。
原産地はヨーロッパ。北アメリカ、中央アジアから東アジア、北アフリカにも分布している。日本には江戸時代末期に渡来した。
利用
葉、枝を健胃薬、駆虫薬として用いる。干したものを袋に詰め衣類の防虫剤として使う。
清涼飲料水、リキュール、ハーブ酒などに香り付けなどの目的で使われる。食品添加物として認可されており、狭義ではカフェインと同じく苦味料に分類される。ニガヨモギを用いたリキュールでは、「緑の魔酒」ともいわれるアブサンが有名だが、白ワインを主にニガヨモギなどのハーブを浸けた、チンザノなどのベルモットの方が一般的である。
一度にたくさん摂取すると含まれるツジョンにより嘔吐、神経麻痺などの症状が起こる。また、習慣性が強いので連用は危険である。
語源
学名の Artemisia は古代ギリシャ語の ἀρτεμισία、つまり Ἄρτεμις (アルテミス)に由来する。ヘレニズム文化において、アルテミスは狩猟をつかさどる女神であり、森林と子供の守護者でもあった。由来としては、カリアのマウスロス王の妻であり妹であった王妃アルテミシアにちなんでいると説明されることもある。マウスロスが紀元前353年に亡くなると、彼はハリカルナッソスに王をしのんで造営された巨大な墓であるマウソレウムに埋葬された。この遺跡は現在のトルコのボドルムにある。ワームウッドという言葉は中英語の wormwode または wermode から来ている。ウェブスターの新国際英語辞典第3版は、語源を古英語の wermōd に求めている(ドイツ語の Wermu およびそこから派生した酒の名前であるベルモットとの比較から)。一方でオックスフォード英語辞典はその見出しにおいて「語源はあいまい」と記号している。
文化史
ニコラス・カルペパーは自身が著した1651年の『英語で書かれた療法』を理解するためには、ニガヨモギこそ重要であると主張していた。しかしリチャード・メイビーによれば、カルペパーによるこの文字通りに苦い味のする植物であるニガヨモギに関する記述は、まるで「意識の流れ」を用いた「他のハーブとは違う」書きぶりで、メイビーいわく「酔っ払いのたわごと」のように読める。一方でカルペパーの伝記を書いたベンジャミン・ウーリーによれば、これは〔人生の〕苦みに関するアレゴリーの可能性があり、実際カルペパーは生涯をかけてエスタブリッシュメント(既存体制)と戦った人で、その結果として投獄されたり手ひどく傷ついたりしたのであった。
ウィリアム・シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』にもニガヨモギは登場する。第1幕3場で、ジュリエットの乳母に「そこで私がおっぱいにニガヨモギを塗ったものですから」というセリフがある。これは当時3歳だったジュリエットを離乳させるために、乳母がニガヨモギの苦みを利用したものであった。
ジョン・ロックの『人間知性論』でも、ニガヨモギが苦さの観念の例示のために用いられている。「子供は明らかに言葉を話す前から甘さと苦さの観念の違い(つまり甘いものとは苦くないものである)を知るのであるから、その後に(言葉を話すようになって)ニガヨモギとあめ玉が同じものではないことを知っていることはいうに及ばない」。
新約聖書におけるヨハネの黙示録には、「苦よもぎ」という名の星が空から水源に落ちたために、水の三分の一が苦くなって多くの人が死んだ、という預言が出てくる(wikisource)。
また、ウクライナの地名、チェルノブイリ(ウクライナ語:чорнобиль チョルノーブィリ)はニガヨモギの意であると言われるが、こちらは「黒い草」という意味を持ち、学名Artemisia vulgaris(日本名:オウシュウヨモギ)という別種である。
脚注
参考文献
- ハーブ学名語源事典(東京堂出版)64項
関連項目
- アブシンチン - ニガヨモギに含まれるセスキテルペンラクトン。アブサンの苦味の主成分。
外部リンク
ウィキスピーシーズには、ニガヨモギに関する情報があります。
ウィキメディア・コモンズには、ニガヨモギに関するメディアがあります。